2001 Fiscal Year Annual Research Report
暗渠排水施設を用いた地下水管理と排水再利用に伴う土壌中の塩分挙動に関する研究
Project/Area Number |
12660220
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
北村 義信 鳥取大学, 農学部, 教授 (80284008)
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Keywords | パキスタン / インダス川流域 / 暗渠排水施設 / 地下水管理 / 排水再利用 / 土壌塩分管理 |
Research Abstract |
この研究は,パキスタン,インド,エジプト,中央アジアなど乾燥地・半乾燥地に位置する農業国で進められている暗渠排水施設の整備後に予想される用水消費量の増大に対処するため,暗渠排水施設を活用した節水的水管理技術の確立に向けた基礎データを得ることを目的とする。平成13年度は,前年度の現地調査に基づき,パキスタン・パンジャブ州における代表的な暗渠排水システムであるチュナブ川とラビ川に挟まれたRechna Doabの南西部で建設された第4排水プロジェクト地区において,水管理実態調査および水・塩類動態の現地実験を実施すべく,10月下旬を目途に渡航準備を進めていたところである。しかしながら,9月11日の米国で起こった同時多発テロを契機にパキスタンの治安状況が悪化し(危険度:5〜3)、同国への出張を見合わせざるを得ない状況に陥った。このため、今年度は国内にてパキスタン,インドの暗渠排水システムに関する文献レビューとカザフスタンのシルダリア川下流域クジルオルダ州で過去に得られた実験データをもとに解析を行った。 パキスタン,インドの暗渠排水システムは,日本のように排水路を十分な深さに掘り下げて重力排水するような方式のものではなく,1つの排水ブロックにつき1箇所深い円筒形のコンクリート製のサンプ(Sump)と呼ばれる吸水槽を敷設し、そこに暗渠と集水渠によって集められた排水を溜めて,ポンプにて排水路へ排除する方式が取られている。すなわち排水路(開渠)には地下排水の機能はなく,もっぱら地表排水機能のみを有し,地下排水は暗渠排水に全面的に頼らざるを得ない。このことからサンプをコントロールすることにより,作物の根群域周辺の土壌水分管理はある程度可能と判断される。今後,サンプの操作により,根群域周辺の塩類集積がどのような挙動を示すかを,明らかにしていきたい。
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