2000 Fiscal Year Annual Research Report
高機能分離膜による農産物・食品廃液の資源再利用に関する研究
Project/Area Number |
12660226
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小出 章二 岩手大学, 農学部, 講師 (70292175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
颯田 尚哉 岩手大学, 農学部, 助教授 (20196207)
西山 喜雄 岩手大学, 農学部, 教授 (90003764)
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Keywords | 膜 / 電気透析 / 排水 / アスコルビン酸 / 未利用資源 / BOD / COD / モデル |
Research Abstract |
高機能膜処理の利点として,透過の選択性が高いこと,加熱しない分離法であること,成分の変質が生じにくいプロセス等があげられ,このことは生体膜や生体模擬膜の機能や特性と類似していることから,膜を使った技術は,資源の永続的利用や水環境浄化の観点から必要性が極めて高い.平成12年度は,未利用資源有効利用の観点から,馬鈴薯加工工場の浸漬工程後の排水に焦点をあて,電気透析法により排水からの有機酸(ここでは還元型アスコルビン酸,ビタミンC)の濃縮を試みた.この還元型アスコルビン酸は,馬鈴薯の抗酸化・褐変防止のため浸漬工程の際に水道水に添加されるが,工程終了後は排水処理され,再利用はされていないのが現状である. はじめに,電気透析により馬鈴薯加工工場浸漬工程後の排水に溶解している還元型アスコルビン酸の濃縮を試みた.その結果,電気透析法は排水中の還元型アスコルビン酸を濃縮できることが示された.併せて,原排水と電気透析後の処理溶液の水質特性について定量化を試みた.電気透析後の希釈溶液は,原排水と比較して生物化学酸素消費量(BOD)で71.0%,化学的酸素消費量(COD)で73.7%,蒸発全残留物(TS)で81.0%,強熱減量(VS)で75.2%の減少が見られた.さらに本実験では,種々の電流密度条件下,還元型アスコルビン酸の濃度変化の測定値をモデルにより解析した.結果として,モデルによる計算値は実測値を精度良く表現した. 本実験の結果より,電気透析法は,未利用資源として有効な有機酸(将来的には現在生分解プラスチックの原料となっている乳酸も回収可能であろう)や無機イオンの選択的回収にすぐれ,また,排水中の非イオン性有機物質(排水処理法と密接な関係を有する)を分離できることが示された.
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