2000 Fiscal Year Annual Research Report
廃発泡スチロール容器のサーマルリサイクル技術の開発および実用化に関する研究
Project/Area Number |
12660228
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
中島 教博 宇都宮大学, 農学部・農業環境工学科, 助教授 (10008055)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏嵜 勝 宇都宮大学, 農学部・附属農場, 講師 (00282385)
|
Keywords | 食品発泡スチロール / 熱分解 / 油化 / GPC / 溶解特性 / 減容化 |
Research Abstract |
α-スチレンモノマー(MSM)および同ダイマー(MSD)を用いた発泡スチロール(EPS)の低温熱分解について把握し、同添加剤を溶剤として用いた場合のEPSの溶解量や溶解速度等の減容特性を把握した。 EPSを冷却管、窒素導入管および温度センサを装着した熱分解装置に投入し、そのまま或いはMSM、MSDのどちらか一方を所定のモル比で添加し、所定時間、所定温度を保ちつつ攪拌して熱分解を行った。なお、加熱の際に窒素置換を行った。処理後のEPSの分子量分布をゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)で測定した。処理後の数平均分子量(Mn)の変化から最適な添加比は、MSMでは1、MSDでは0.5であった。また、熱分解温度200℃以下でEPS(Mn:80000)から処理油(Mn:3000〜4000)が得られ、約1/20程度の低分子化が可能になった。従来400℃以上で行われている油化の低温度化・省エネ化が期待できる結果を得た。 マテリアルリサイクルの減容化工程で実際に用いられているリモネンを指標にして、EPSのMSMおよびMSDに対する溶解性について調べた。溶解速度はMSM、リモネン、MSDの順であった。しかし、溶存EPS濃度が約20%以上では、リモネンとMSMの溶解特性の差は僅かであった。EPSの溶剤としてMSMはリモネンと同等以上に優れていることがわかった。 MSMまたはMSD添加によるEPSの熱分解処理油の10〜60℃における粘性を調べた。両処理油とも、20℃で数千cP、60℃でも数百cPと比較的高い粘性を示した。これを処理溶剤で希釈することによって粘度を低下させ、3倍希釈、60℃において両処理油とも2〜3cPでA重油程度になった。 EPS、MSMおよびMSD単独の発熱量は、EPS:約9,900kcal/kg(41.5MJ/kg)、MSM:約9,800kcal/kg(41.0MJ/kg)およびMSD:約9,600kcal/kg(40.2MJ/kg)であった。これに対し、処理油は約9,800kcal/kg(41.0MJ/kg)前後の発熱量を有し、A重油10,300kcal/kg(43.1MJ/kg)に順ずる値であった。
|