2001 Fiscal Year Annual Research Report
好中球ミエロペルオキシダーゼ欠損マウスの感染防御能と組織傷害
Project/Area Number |
12660274
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
荒谷 康昭 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助教授 (30192470)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉 文明 国立感染症研究所, 細菌部, 主任研究官 (30161722)
鈴木 和男 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 室長 (20192130)
小山 秀機 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (40085626)
|
Keywords | 好中球 / ミエロペルオキシダーゼ / 免疫 / 感染症 / 活性酸素 |
Research Abstract |
ミエロペルオキシダーゼ(MPO)は好中球に存在し、過酸化水素から次亜塩素酸が生成される反応を触媒する。ヒトのMPO欠損好中球は微生物殺菌能に低下がみられる。しかし、MPO欠損患者は健康な生活を営んでおり、わずかにカンジダ菌に感染し易い傾向が認められているに過ぎない。したがって、MPOが個体の感染防御に不可欠な酵素なのかどうか明らかではない。本研究は、個体レベルでのMPOの機能を知るために、すでに我々が作製しているMPOのノックアウトマウス[MPO(-/-)マウス]を用いて、種々の真菌および細菌に対する感染防御能を解析した。このノックアウトマウスは、カンジダ、アスペルギルス、トリコスポロン、緑膿菌、クレブシエラなど多くの真菌細菌に易感染性を示した。すなわち、MPOは生体防御に重要な酵素であることが個体レベルで明らかとなった。また、このマウスのカンジダ菌に対する生体防御能を、重篤な感染を繰り返すことで知られる慢性肉芽腫症のモデルマウス(CGDマウス)の比較したことろ、カンジダ菌が高量感染するとCGDマウスと同程度の重篤な感染症を罹患することが判明した。 一方、好中球からの活性酸素やプロテアーゼの放出が長時間持続すると正常組織にも障害を及ぼす。この組織障害を回避するため、活性化した好中球は速やかに死に至る。好中球の細胞死には活性酸素が関与している可能性があるがその詳細は明らかでない。そこで、MPO(-/-)マウスを用いて、好中球の細胞死における次亜塩素酸の関与を検討した。その結果、活性化されたMPO(-/-)好中球のアポトーシスは、野生型好中球よりも著しく遅延することが判明した。すなわち、MPOの触媒によって好中球から産生される次亜塩素酸が、好中球自身のアポトーシスの初期過程を促進することが示された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Yasuaki Aratani: "Critical role of myeloperoxidase and NADPH-oxidase in high-burden systemic infection of mice with Candida albicans"J. Infect. Dis.. (in press).
-
[Publications] Shinya Takizawa: "Deficiency of myeloperoxidase increases infarct volume and nitrotyrosine formation in mouse brain"J. Cereb. Blood Flow Met.. 22. 50-54 (2002)
-
[Publications] Akiko Ishida-Okawara: "Contribution of myeloperoxidase to coronary artery vasculitis associated with MPO-ANCA production"Inflammation. 25. 381-387 (2001)
-
[Publications] Tetsuto Tsurubuchi: "Retardation of early-onset PMA-induced apoptosis in mouse neutrophils deficient in myeloperoxidase"J. Leukoc. Biol.. 70. 52-58 (2001)
-
[Publications] Yasuaki Aratani: "Differential host susceptibility to pulmonary infection with bacteria and fungi in mice deficient in myeloperoxidase"J. Infect. Dis.. 182. 1276-1279 (2000)
-
[Publications] Noriko Noguchi: "Role of myeloperoxidase in the neutrophil-induced oxidation of low density lipoprotein as studied by myeloperoxidase-knockout mouse"J. Biochem.. 127. 971-976 (2000)