2001 Fiscal Year Annual Research Report
新型エンテロトキシン産生ブドウ球菌の疫学への分子生物学的手法の応用
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12660281
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
品川 邦汎 岩手大学, 農学部, 教授 (60133906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重茂 克彦 岩手大学, 農学部, 助手 (60224309)
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Keywords | S. aureus / Staphylococcal enterotoxin / recombinant DNA / emesis / diagnosis |
Research Abstract |
近年、相次いで新型ブドウ球菌エンテロトキシン(SE)H型、G型、1型の存在が報告された。これら新型SEの診断方法の確立を目的とし、以下の研究を行った。 A. 新型エンテロトキシン(SE)の大腸菌発現系確立と抗SE血清の作成 SEH,SEG,SEI遺伝子を発現ベクターpGEX-6P-1にクローニング、大腸菌に導入して大量発現系を確立した。この系を用いて精製組換え型SEG、SEHおよびSEIを調製し、これを抗原としてウサギに免疫し、特異抗血清を作製した。これらの抗血清を用いてSandwich ELISAによるSEG, SEHおよびSEI検出法、定量法を確立した。 B.PCR法による毒素遺伝子検出法の確立 SEG、SEHおよびSEI遺伝子を検出するためのPCRプライマーを設計・合成し、multiplex PCRにより、同時にSEG、SEHおよびSEI遺伝子を検出する系を確立した。 C. S. aureusのSE遺伝子保有状況と毒素産生性の検討 上記のPCRとSandwlch ELISAを用い、食中毒由来、健康ヒト由来、ウシ乳房炎由来およびウシ生乳由来S. aureusのSE遺伝子保有状況とSEG, H, Iの産生性を検討し、SEH遺伝子保有菌株はSEHを産生するが、SEG, SEI遺伝子保有菌株ではSEG, SEI産生能が低いことを明らかにした。 D. Suncus murinusにおけるSEA-SEIの嘔吐活性の検討 大腸菌発現系を用いて調整したSEA-SEIの嘔吐活性を、トガリネズミ(Suncus murinus)を用いて検討し、全ての毒素が嘔吐活性を不すことを明らかにした。 E. 新型エンテロトキシン遺伝子の検索 SEA-SEI遺伝子を持たない食中毒由来株の遺伝子解析を行い、SEGに相同性を有する新型エンテロトキシン遺伝子を同定し、SEPと命名した。SEPを大腸菌で発現し、これを抗原として特異抗血清を作成し、Western blotを行うことにより実際にSEPが産生されていることを証明した。
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