2000 Fiscal Year Annual Research Report
鶏に対するSalmonella Enteritidisの宿主・臓器特異性の機序
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12660286
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
馬場 栄一郎 大阪府立大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70081594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 浩行 大阪府立大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00305658)
宮本 忠 大阪府立大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40264816)
笹井 和美 大阪府立大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (70211935)
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Keywords | サルモネラ / Salmonella Enteritidis / ニワトリ / たまご / 感染宿主特異性 / 感染部位特異性 / サルモネラ血清型 |
Research Abstract |
採卵鶏にSalmonella Enteritidis(以下SE)、S.Typhimurium、S.Infantis、S.Hadar、S.Heidelberg、あるいはS.Montevideoをそれぞれ10^6CFU静脈内接種し、接種7日後までの産出卵と、接種1、2、4、7日後の血液、クロアカスワブおよび卵管膣部スワブからの菌検索を行った。また、4、7日後には剖検を行い、肝、脾、胆汁、盲腸内容物、腹腔スワブ、卵巣、排卵前卵胞、卵管(漏斗部、膨大部、狭部、子宮部及び膣部の各部位)粘膜スワブ、クロアカスワブからの菌検索を行った。得られたデータは各血清型間でFischerの直接確率計算法により比較・評価した。SEは全産出卵43個中4個(9.3%)から検出され、卵黄の汚染は3個(7%)で確認された。これに対し、他の血清型ではS.Hadarが33個中1個(3%)の卵殻から検出されたのみであった。これはSEの経卵巣伝播による卵汚染の可能性を強く示唆している。いずれの血清型も肝、脾および盲腸内容物から同様に検出されたが、SEは接種4日後に排卵前卵胞から(83.3%)、7日後には卵巣および排卵前卵胞から(それぞれ100%および87.5%)、他の血清型に比較して有意に高率に検出された(P<0.05)。SEは接種2、4、7日後にクロアカおよび卵管膣部から、4、7日後には卵管の他の部位から検出された。加えて、末梢血中から7日間にわたり持続して検出されたのはSEのみであった。したがって、SEは供試した6血清型の中で採卵鶏の生殖器に定着する能力が最も高い血清型であることが示唆され、このことは近年他の血清型と比べてSEによる食中毒だけが多発している野外での状況を反映している。すなわち、SEの鶏生殖器への定着能は、SEによる卵汚染の増加の原因の一つであると考えられた。
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Research Products
(1 results)