2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670009
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
人見 次郎 新潟大学, 医学部, 助教授 (00218728)
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Keywords | 幹細胞 / 食道上皮 / モノクローナル抗体 / 細胞分化 / 細胞増殖 / 細胞培養 |
Research Abstract |
1)ヒト食道上皮幹細胞同定の試み-基底細胞を認識する新しいモノクローナル抗体の作製とその性状 食道上皮は表皮に比較して,上皮内の細胞配列と増殖・分化過程(幹細胞⇒増殖細胞⇒分化細胞)の関係が単純であり,細胞増殖・分化の解析モデルとして有用と思われる.そこで,我々は上皮幹細胞の同定とその自己複製機構の解析を目的に,ヒト食道上皮幹細胞の分離培養を試みている.幹細胞はいまだ同定されていないが,幹細胞が基底層に存在すると仮定し,基底細胞の細分類化により幹細胞を決定するという方策の基,まず,上皮基底細胞を選択的に認識するモノクローナル抗体の作製を試みた.カルシウム濃度制限下で培養した初代培養ヒト食道上皮細胞を,ddYマウス(♂)に免疫し,その脾細胞をSP2 myeloma細胞と細胞融合した.クローンの選択は,hybridoma上清による食道上皮凍結切片の免疫染色法を用いた.hybridoma約800クローンから,食道上皮の基底細胞を選択的に染色するクローンNJ-E-H10を選択した.NJ-E-H10のisotypeはIgMで,基底細胞のうち,特に乳頭部頂上から周辺部の細胞の細胞質を強く染色する.また,培養ヒト食道上皮細胞では,ほとんどの細胞との反応性を認めるが,特にコロニー周辺部,すなわち,伸展先端部分の細胞と反応性が強い.培養細胞を用いた免疫電顕では,細胞膜直下の細胞質にシグナルを認めるが,細胞骨格成分等との反応性は明らかではなかった.NJ-E-H10はその免疫反応性から,既知の基底細胞マーカー分子(cytokeratin14,p75NGFR)と区別され,現在,抗原分子の単離・同定を試みている. 2)ヒト食道上皮幹細胞の特性の解析 未熟な初代培養ヒト食道上皮細胞を用いて,培養環境の違いによる上皮細胞の分化能の変化を解析中である。
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