全胚免疫・分子組織化学染色による心・鰓弓系器官の神経・血管形成の三次元的解明

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12670010
• Research Institution: Kanazawa University
• Principal Investigator: 田中 重徳 金沢大学, 医学部, 教授 (60004660)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 泉 篤史 金沢大学, 医学部, 助手 (70303279) ; 伊藤 正明 金沢大学, 医学部, 助手 (90266346) ; 木田 雅彦 金沢大学, 医学部, 助教授 (40186276)
• Keywords: 発生 / 末梢神経 / 心臓 / ヒト / ジャコウネズミ / ニワトリ / ラット / 免疫組織化学

Research Abstract

1.ニワトリ胚の心臓分布する神経(節)の発生について 心臓枝と、心臓神経節を形成する神経堤細胞は、肺心間膜を経由して心房中隔を経て、房室結節に達することが判った。横中隔レベルにある食道心間膜を経由するものについては、更に電子顕微鏡を用いて所見を得る必要があることが判明した(向後の研究)。
2.ジャコウネズミの静脈門から入る心臓神経について ジャコウネズミの胚を全胚的免疫染色し、心臓に分布する神経を染色する実験と平行し、心臓神経形態形成過程の到達点を予め把握しておくべく、成体の心臓及び周囲大血管を全胚的に免疫染色して、神経を染色した。その結果、通常の切片標本や解剖手技では観察不可能であった奇静脈、大静脈を経由する神経と、心房中隔を通過して房室結節に達する神経の存在を発見した。
3.ヒトの成体の心臓に分布する迷走神経並びに交感神経の枝について 高度臨床解剖学実習に用いられる解剖体の心臓・大血管を0.03%含有のエチルアルコールの中に長期間保存し、実態顕微鏡下で当該の神経をこれまで以上に詳細に検索したところ、上・中・下頚(交感)節から起こり、心臓の動脈門に入り込む心臓神経が回転しながら、左右冠状動脈起始部に達することを初めとする、発生学的研究の為の基礎データを得た。
4.膝関節腔の形成について 膝の関節に分布する神経を追跡する研究過程で、膝関節腔は細胞のアポトーシスによって形成されると言われて来たが、免疫染色並びに生化学的研究により、そうではないことが判明した。

Research Products

• [Publications] 田中重徳: "Bilateral superficial median arteries."Journal of Anatomy. 194. 475-477 (1999)
• [Publications] 田中重徳: "末梢神経系の発生-鰓弓神経の形態とその形成"生体の科学. 50. 588-594 (1999)
• [Publications] 田中彰: "Expression of matrix metalloproteinase-2 in osteoarthritic fibrocartilage from human mandibular condyle."Journal of Oral Pathology and Medicine. 29(in press). (2000)
• [Publications] 伊藤正明: "Morphological and biochemical re-evaluation of the process of cavitation in the rat joint : cellular and cell strata alterations in the interzone"Journal of Anatomy. 197. 659-679 (2000)
• [Publications] Ikeda K.: "Experimental Study of Peripheral Nerve Injury During Gradual Limb Elongation"Hand Surg.. 5・1. 41-47 (2000)
• [Publications] 木田雅彦: "Sternalis muscle : topic for debate."Clin Anat..
• [Publications] 田中重徳: "日本人のからだ 解剖的変異の考察 佐藤達夫、秋田恵一 編"東京大学出版会. 893 (1999)