2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670011
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
佐々木 克典 信州大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30170666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 綾美 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (90273078)
城倉 浩平 信州大学, 医学部, 講師 (30303473)
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Keywords | 細胞接着分子 / 腹膜 / 胸膜 / 免疫SEM法 |
Research Abstract |
本研究の目的はこれまで行ってきた膜構造に発現する細胞接着分子の動態の解析を基礎にし腹膜、胸膜の癒着機構を明らかにすることである。 平成13年度は次の実績を得た。 腹膜について ファイブロネクチンの役割(Ann Anat、2001) 正常状態では白血球と腹膜中皮の相互作用はICAM-1-LFA-1系が主体であるが、強度の炎症状態ではさらにVCAM-1-VLA-4系の相互作用が開始された。しかし白血球はそれほど強く中皮に接着しているようには見えない。ところが線維状構造が中皮の表面に出現すると突如として白血球が強固な接着を開始し、中皮の剥離が開始される。この線維状構造には、免疫SEM法によりファイブロネクチンが発現していることが明らかになった。この結果よりVLA-4はVCAM-1のみならずファイブロネクチンのリガンドであることから、VCAM-1-VLA-4系からさらにファイブロネクチン-VLA-4系に移行することにより不可逆的な癒着機構が開始されると結論づけられた。 炎症状態における白血球の動態(Anat Rec,2001) 腹腔炎症時に白血球に発現する細胞接着分子の種類と分布を明らかにするため、盲腸を穿孔させ、人為的に腹膜炎を作成し、免疫SEM法によりVLA-4,LFA-1,Mac-1の局在を解析した。その結果Mac-1は全体的に、LFA-1,VLA-4は白血球の襞や微絨毛に限局した。すなわち腹膜炎時に湧出する白血球には上記で述べたIgGスパーファミリー、ファイブロネクチンに対するリガンドが独特な3Dの局在を示しながら存在することが明らかになった。現在この白血球の湧出部位と考えられるミルキースポットに焦点をあて解析を進めており、その成果は昨年の解剖学会に発表し、現在論文投稿中である。 胸膜について 胸膜腔における白血球の湧出部位 胸膜の細胞接着分子の発現は腹膜に類似しているが、湧出部位は腹膜腔のように明確なミルキースポットは特定できていない。これは非常に大きな謎であった。ところがLPSで強度に炎症状態にし胸壁を検討すると肋骨に沿った血管を含む疎性結合組織中に多数の白血球(好中球)が湧出することを認めた。さらに胸膜腔に存在するのも好中球であることから肋骨周囲に現れた白血球が胸膜腔に湧出したと考えられた。さらにI型肺胞細胞には多数のICAM-1が発現することを認めた。これらを総合すると胸膜腔の生体防御機構があきらかにできると考え、現在研究を進めている。これらの研究は昨年解剖学会に一部報告し、本年さらに詳細に報告する予定であり、現在論文としてまとめている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Okamura S, Suzuki K, Johkura K, Ogiwara M, Nakazawa A, Harigaya M, Yokouchi T, Sasaki K.: "Formation of bio-pulsatile vascular pump by cardiomyocyte transplant circumvallating the abdominal aorta"Tissue Eng.. 8(in press). (2002)
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[Publications] Johkura K, Liang Y, Teng R, Ogiwara N, Sasaki S.: "Nephrogenesis accompanied by vascularisation in the mouse embryonic metanephros transplanted into the adult kidney for the creation of additional nephros"Nephrology. 7. 86-94 (2002)
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[Publications] Johkura K, Liang Y, Cui L, Ogiwara N, Sasaki, K: "Spatial distribution of cell adhesion molecules on the peritoneal surface in the cecal perforation-induced peritonitis"Anat. Rec.. 264. 219-227 (2001)
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[Publications] Sasaki K, Johkura K, Ogiwara N, Lianf Y, Cui L, Teng R, Okouchi Y.: "Three-dimensional morphological analysis of antigen-antibody reaction in hepatic sinusoids preserved in hypothermic UW solution"Cryobiology. 42. 145-150 (2001)
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[Publications] Liang Y, Johkura K, Ogiwara N, Sasaki K: "Expression of adhesion molecules and fibronectin of activated peritoneal surface with lipopolysaccharide(LPS) analyzed with immuno SEM"Ann. Anat.. 183. 353-356 (2001)
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[Publications] Liang Y, Sasaki K: "Expression of adhesion molecules relevant to leukocyte migration on the microvilli of liver peritoneal mesothelial cells"Anat Rec. 258. 39-46 (2000)
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[Publications] 河原克雅, 佐々木克典: "人体の正常構造と機能 III 消化管"日本医事新報. 86 (2000)