2002 Fiscal Year Annual Research Report
P型ATPase高次構造形成過程の解析と補助因子の検索
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12670041
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
野口 俊介 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (30222194)
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Keywords | Ca-ATPase / (Na, K)ATPase / (H, K)ATPase / βサブユニット / 生合成 / アフリカツメガエル卵母細胞 / 発現系 |
Research Abstract |
P型ATPaseに属する(Na, K)ATPase, (H, K)ATPaseは触媒サブユニットであるα以外にβサブユニットを要求するが,筋小胞体Ca-ATPaseは,これらとほとんど同じ膜への配向を示しながらも触媒サブユニットのみで正しい配向で膜に組み込まれ機能する。これまでの研究からCa-ATPaseも生合成の極く初期には(Na, K)ATPaseのβサブユニットと相互作用し,その複合体形成は一過性であり数時間で解離すること,(H, K)ATPaseβサブユニットも(Na, K)ATPaseと同様に生合成の初期においてCa-ATPaseと相互作用することが示され,Ca-ATPaseでも立体構造形成過程にβサプユニット様の補助因子が介在する可能性が予想された。実際にXenopus卵巣より調製した膜画分,可溶性画分をSDS-PAGE,膜転写し抗(H, K)ATPasesβサブユニットモノクローナル抗体で、免疫染色すると,可溶性画分に約60kDaのバンドが検出された。さらにあらかじめCa-ATPase cRNAを注射しておいた卵母細胞に,抗(H, K)ATPase βサブユニットモノクローナル抗体を注射したところ,CA-ATPaseの生合成の顕著な阻害が見られた。これらの結果はこの60kDa蛋白がXenopus卵母細胞発現系におけるCa-ATPaseの生合成に関与している可能性を示唆している。本年度はこの60kDa蛋白を同定すべく精製を行った。 Xenopus卵巣を破砕し遠心して不溶性画分,膜画分を分離し可溶性画分を得た。これをDEAE-Toyopearlを用いた陰イオン交換カラムクロマトグラフィーにより分画した。抗(H, K)ATPaseβサブユニットモノクローナル抗体と反応する60kDaパンドが合まれる画分を集め,再度陰イオン交換カラムクロマトグラフィーを行い,SDS-PAGE, CBB染色により60kDaパンドが独立したバンドとして確認できる粗製精製標品を得た。得られた標品の純度は約8%と低かったがSDS-PAGEで近傍に重なるパンドが無かったためこの標品をSDS-PAGE,膜転写しペプチドシーケンサーにかけ,N-末端アミノ酸配列の解析を試みた。しかしN-末端がブロックされており配列情報を得ることはできなかった。さらに種々のデブロッキング操作を試みたがうまくいかなかった。このためプロテアーゼ消化による部分ペプチドを精製し配列決定をすべく,精製法の更なる検討を行っている。
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Research Products
(1 results)