2000 Fiscal Year Annual Research Report
血管組織における平滑筋・内皮細胞間のギャップ結合を介する情報伝達
Project/Area Number |
12670043
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山本 喜通 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (80145755)
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Keywords | 細動脈 / 平滑筋細胞 / 内皮細胞 / ギャップ結合 / パッチクランプ法 / 電気生理学 |
Research Abstract |
今回の実験に用いた直径50〜100μmのモルモット腸管膜細動脈を電顕観察したところ,その中膜は単層の平滑筋細胞から成り,内皮細胞間にはギャップ結合が発達していることがわかった.免疫組織化学的手法から,内皮細胞膜にはconnexin 40と43が,平滑筋細胞膜にはconnexin 43が発現していた.この細動脈から3種類の標本(叛転血管,外膜除去血管および外膜除去血管の一部を切り開いたもの)を製作し,各々2個の血管内皮細胞,2個の血管平滑筋細胞,または内皮細胞と平滑筋細胞の膜電位をパッチックランプ電極を用いて同時に記録しながら,どちらか一方に膜電位変化を起こしてその伝播を観察した.アセチルコリンで内皮細胞を刺激して生じた過分極電位は伝播効率80%で平滑筋に,Ba^<2+>(5mM)で平滑筋細胞を刺激して生じた脱分極とスパイク放電は伝播効率92%で内皮細胞に各々伝播した.また一方の電極から通電して内皮細胞に生じた電気緊張電位は,内皮細胞層内をほとんど減衰することなく,また平滑筋には伝播効率84%で伝播し,内皮細胞間の抵抗が極めて低いことが示された.一方平滑筋細胞への通電により生じた電気緊張電位は平滑筋層内で急速に減衰したが,25μmを越えるとそれ以上減衰することなく,ある一定の大きさを維持した.この緊張電位は内皮細胞にも伝播したが,伝播効率は6〜7%であった.この6〜7%という伝播効率は緊張電位の極性に依らず一定であったことから,平滑筋と内皮細胞間の電気的結合には整流作用がないことがわかった.以上の結果から,隣り合った平滑筋細胞同士間の抵抗は少なくとも90MΩあり,1個の平滑筋細胞と内皮細胞層間の抵抗は0.9GΩであることが示唆された.
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