2000 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞膜の電気穿孔に関する膜電流および蛍光の同時測定による研究
Project/Area Number |
12670046
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大地 陸男 順天堂大学, 医学部, 教授 (10049025)
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Keywords | 膜破壊 / 電気穿孔 / リゾホスファチジルコリン / ポリエチレングリユール / 心筋 / 蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
我々は心室筋がK^+濃度の減少による過分極で、電気穿孔によると想定される異常興奮を発生することを発見した。これをうけた本研究の主な目的は、穿孔の証明と意味付けをパッチクランプ法と蛍光顕微鏡を併用して、穿孔部からのマーカーの透過、Ca^<2+>の流入、細胞の形態変化から行うことであった。パッチクランプ法では、リゾホスファチジルコリン(LPC)が電気穿孔を促進するのに対し、親水性ポリマーであるポリエチレングリール(PEG)がこれを軽度に抑制することを新たに明らかにした。エチジウムブロミド(EB)は、膜非透過性でDNAと結合して蛍光を増大するシアニン色素である。EB存在下に過分極によって異常内向き電流を発生させると、核の蛍光が増大した。さらに、電流の積分値は蛍光増大と時間的に平行して増大した。すなわち、異常内向き電流は膜の一過性破壊を反映することが裏付けられた。穿孔部からのCa^<2+>流入は細胞を収縮させるはずである。実際にK^+-free溶液は過収縮と核蛍光の増大をもたらした。それに対し高K^+-溶液ではCa^<2+>電流により過収縮が生じたが蛍光は増大しなかった。当然期待されるようにLPCは濃度依存性に過収縮と高度な核蛍光の増大をもたらした。これに対しPEGはLPCによるEB蛍光増大を著明に抑制した。PEGが膜破壊部を取り巻き、EBなどの大きな分子の流入を阻止する機序によると想定された。以上のように、本研究費によって購入できた蛍光顕微鏡は、期待以上といえるほど高いパフォーマンスを示し、多くの新知見がえられた。論文発表を準備している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ochi,R.,Song,Y.,Tateyama,A.M,Tateyama,M.: "Electroporation of cardiac muscle : modulation by lysolipids, surfactants and polyethylene glycol."Jpn.J.Electrocardiol.. 20(Supple 3). S20-S23 (2000)
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[Publications] Gupte,S.A.,Okada,T.,Tateyama,M.,Ochi,R.: "Activation of TxA_2/PGH_2 receptors and protein kinase C contribute to coronary dysfunction in superoxide treated rat hearts."J.Mol.Cell.Cardiol.. 32. 937-946 (2000)
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[Publications] Tateyama,M.,Zong,S.,Tanabe,T.,Ochi,R.: "Properties of voltage-gated Ca^<2+> channels in rabbit ventricular myocytes expressing Ca^<2+> channel αcDNA."Am.J.Physiol.. 280. C175-C182 (2001)
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[Publications] 大地陸男: "心血管系における細胞膜傷害"脈管学. 41. 13-22 (2001)