2001 Fiscal Year Annual Research Report
バゾプレッシン分泌に及ぼすストレス反応系、体温調節系と浸透圧調節系の相互連関
Project/Area Number |
12670065
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
鷹股 亮 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (00264755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 俊之 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (90168360)
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Keywords | パゾプレッシン / 血漿浸透圧 / ストレス / ACTH / 運動 / 食道温 |
Research Abstract |
本研究ではストレスや体温上昇を伴う複合的刺激として、ラットを用いてエンドトキシン血症時のバゾプレッシン分泌調節について、ヒトを対象として運動時のバゾプレッシン分泌調節機構を明らかにする実験を行ってきた。 本年度は、主に昨年度より行ってきたヒトを対象とした運動時のバゾプレッシン分泌調節機構を明らかにする実験を行った。 健康な被験者に最大酸素摂取量の40,60,80,90%の自転車エルゴメータ運動を段階的にそれぞれ4分ずつ行わせ、その際の血漿バゾプレッシン濃度と血漿浸透圧の関係を求めた。また、同一被験者において高張性食塩水輸液により運動時の血漿浸透圧上昇と同程度に血漿浸透圧上昇を上昇させ、その際の血漿バゾプレッシン濃度と血漿浸透圧の関係を運動時のそれと比較した。これら実験において、血圧、心拍数、食道温、血漿乳酸濃度、血漿ACTH濃度も測定した。 高張性食塩水輸液により、血漿浸透圧上昇に対して血漿パゾプレッシン濃度は直線的に上昇した。一方、運動時は、運動強度が60%よりも低い時には浸透圧性バゾプレッシン分泌は抑制され、運動強度が高い時には、血漿浸透圧上昇に対する血漿バゾプレッシン濃度の上昇が亢進した。運動時には、運動強度に依存して心拍数および平均動脈圧の上昇が起こった。また、運動強度が60%を超えると運動強度の上昇に伴って食道温、血漿乳酸濃度、血漿ACTH濃度の上昇が起こった。これらの変化は、高張性食塩水輸液時には見られなかった。 以上より、運動時のバゾプレッシン分泌が低運動強度で抑制されるのは、血圧の上昇が主な原因であると考えられる。一方、高運動強度時に浸透圧性バゾプレッシン分泌が亢進するのは、CRHや体温上昇が、その原因として考えられる。さらに、浸透圧性バゾプレッシン分泌は、下垂体後葉からのバゾプレッシン分泌を刺激するが、下垂体門脈系へのバゾプレッシン分泌は促さないことがあきらかになった。 今後、ストレスと体温を独立して変化させる実験を行い、バゾプレッシン分泌メカニズムをさらに詳細に検討したい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Takamata A, Seo Y, Ogino T, Tanaka K, Fujiki N, Morita H, Murakami M.: "Effects of pCO_2 on the CSF turnover rate in T_1-weighted magnetic resonance imaging"Japanese Journal of Physiology. 51(5). 555-562 (2001)
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[Publications] Ito T, Takamata A, Yaegashi K, Itoh T, Yoshida T, Kawabata T, Kimura M, Morimoto T.: "Role of blood volune in the age-associated decline in peak oxygen uptake in humans"Japanese ournal of Physiology. 51(5). 607-612 (2001)
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[Publications] Kasai T, Hirose M, Matsukawa T, Takamata A, Kimura M, Tanaka Y.: "Preoperative blood pressure and intraoperative hypothermia during lower abdominal surgery"Acta Anaesthesiologica Scandinavica. 45(8). 1028-1031 (2001)