2000 Fiscal Year Annual Research Report
癌遺伝子産物MDM2のZnフィンガー構造を標的とする新しい癌治療薬の開発
Project/Area Number |
12670079
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
助川 淳 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30187687)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 輝行 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90133941)
|
Keywords | GTP結合タンパク質 / Ran / MDM2 / Znフィンガー |
Research Abstract |
タンパク質のZnフィンガー構造は一般的にDNA結合活性を持っているが、本申請者が見い出したある種のZnフィンガー様反復構造は、低分子量GTP結合タンパク質の一種であるRanと特異的に結合する。Ranは真核細胞内で最も多量に存在する低分子量GTP結合タンパク質であり、核細胞質間のタンパク質の能動的な輸送や、DNAの複製に直接関与することが明らかにされているが、その多様な生理的機能の全体像は明らかにされていない。一方、癌遺伝子産物であるMDM2は、この特殊なZnフィンガー様構造と類似した構造を持っている。MDM2は癌抑制遺伝子産物p53に結合しその機能を阻害するとともに、p53の分解を促進することが分かっている。また、MDM2には多くの癌で細胞癌化の原因とされる変異が見つかっており、癌治療薬の潜在的標的となりうる分子である。本年度は、MDM2のRan結合活性の有無を分子生物学的な手法を使って検討した。 まず、MDM2のZnフィンガー様構造がRanと特異的に相互作用するかどうかを確認するために、酵母を使用したTwo-Hybrid法を用いた。すなわち、酵母の転写因子GAL4のDNA結合ドメインにMDM2を融合し、活性化ドメインにはRanを融合した。これら二つの融合タンパク質を酵母細胞内で同時に発現させたが、GAL4転写因子の活性化は認められなかった。次に、MDM2とRanが、in vitroで相互作用するかどうかを見るために、各タンパク質を大腸菌に産生させ、いわゆるプルダウンアッセイを行ったところ、これらのタンパク質が特異的に結合することが確認された。現在、変異体を作成し、この結合に関与するMDM2のアミノ酸配列の同定を試みている。
|