2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670127
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西 信三 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20001894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 芳一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90186841)
中林 秀和 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10033383)
酒井 正春 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (50162269)
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Keywords | α-フェトプロテイン / トランスジェニックマウス / 実験的アレルギー性骨髄炎(EAE) / 多発性硬化症 / ミエリン塩基性タンパク / リュウマチ性関節炎 / 免疫抑制能 / 自己免疫性甲状腺炎 |
Research Abstract |
α-フェトプロテイン(AFP)は胎児期には主要な血清タンパクである。生後はその産生は停止するが肝癌や卵黄嚢癌は活発に産生し、再び血中に増加し診断に応用されている。しかしその生物学的機能は十分に明らかではない。免疫制御機能があるとの多くの報告があるが異論も多い。 我々はヒトAFP遺伝子のみを恒常的に発現させたトランスジェニックマウスを作製し、実験的自己免疫疾患の発症の系を用いてその免疫抑制能を明らかにしてきた。 今回はヒトの多発性硬化症のモデルと考えられる実験的アレルギー性脊髄炎(EAE)で検討した。 ミエリン塩基性タンパクの一部のペプチトを免疫源とした。症状(EAE score)は対照に比べ有意に抑制され、トランスジェニックマウスでは最高1.5であったが、対照では2.7あり、回復も早かった。最も症状が悪くなる時期は免疫開始からおよそ23日目であり差はなかった。組織のscoreにおいても有意に差を認めた。同様の実験を新たに作製したマウスAFP産生トランスジェニックマウスでも行ったが同様の結果であった。マウスAFPトランスジェニックマウスを用いて、ヒトAFPトランスジェニックマウスで見られた自己免疫性の関節炎ならびに甲状腺炎の発症抑制を検討した。 メチル化アルブミンで免疫を行いリュウマチ性関節炎のモデルを作製した。 組織のscoreを比較したが、対照では重症なものが多かったが、トランスジェニックマウスではほとんどの例で軽〜中等度までの状態であり、組織学的に明らかな有意差を認めた。 サイログロブリンで免疫を行い発症させた自己免疫性甲状腺炎では対照の炎症は軽度であったが発症したが、トランスジェニックマウスでは病変を認めない例が多く、有意差を認めた。 ヒトAFPとマウスAFPは共通して同様な免疫抑制能を有する事が明らかとなった。 今後詳しくその免疫機序を解析するとともに、AFPを用いた治療の可能性も検討することが重要と考えられる。
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[Publications] Huang, K., Serria, S.M., Nakabayashi, H., Nishi, S., Sakai, M.: "Molecular cloning and function characterization of the mouse mafB gene"GENE. 242. 419-426 (2000)
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[Publications] Y.Kang, E.Matsuura, T.Sakamoto, S.Nishi: "Analysis of Epitopes of Mouse Monoclonal Antibodies against Human-Alpha-Fetoprotein"Tumor Biology. (印刷中). (2001)
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[Publications] Sakai, M., Serria, M.S., Ikeda, H., Yoshida, K., Imaki, J., Nishi, S.: "Regulation of c-mafgene expression by Pax6 in cultured cells"Nucleic Acids Research. 29,No.5. 1228-1237 (2001)