2001 Fiscal Year Annual Research Report
オルニチン脱炭酸酵素アンチセンス遺伝子による癌遺伝子治療
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12670132
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保田 俊一郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00260480)
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Keywords | ODC / アンチセンスオイゴヌクレオチド / ヒト癌細胞 / コラーゲン / 癌増殖抑制 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
ODCのアンチセンスオリゴヌクレオチドによる癌化、浸潤、転移抑制を目指した遺伝子治療確立のため、異なる3種類のヒト癌細胞(MKN45胃癌、COL0201大腸癌、RD横紋筋肉腫細胞)を用いてin vitroでの増殖抑制実験を行った。増殖抑制実験は、トリパンブルー法あるいはMTT法で2、4、6日間、時間経過を追って行った。ODCアンチセンスオリゴヌクレオチドは、予備実験で、10μMの濃度が最適であったため、本実験では、この濃度を用いた。コントロールとして醤、スクランブルオリゴヌクレオチドを用いた。アンチセンスオリゴヌクレオチドの担体として、テーロペプチドを取り除いたI型コラーゲンを用いた。濃度は、予備実験の結果から0.018%で実験を行った、また、担体のコントロールとしてリポソームを用いて比較実験を行った。コラーゲンで包埋したODCアンチセンスオリゴヌクレオチドは、MKN45, COL0201, RD細胞の増殖を時間依存性に有意に抑制した。コラーゲン単独でも、ODCアンチセンスオリゴヌクレオチド単独でも、さらにコラーゲンの代わりのリポソームでも増殖抑制効果が見られたが、抑制の程度は小さかった。これらのin vitroの結果を得て、さらにin vivoの予備実験を開始した。胃癌、大腸癌、横紋筋肉腫細胞をヌードマウス皮下に移植し、腫瘍が、約200mgとなった時点で、ODCのアンチセンスオリゴヌクレオチドをアテロコラーゲンに包埋し、皮下、筋肉、腹腔の3つのルートで投与した、コントロールに比して腫瘍重量で0.2〜13%に癌が縮小し、1回投与で5〜6週間腫瘍抑制効果が持続した。現在、個体数を増やして、この効果を確認すると共に、転移を抑制するかの実験も行っている。
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[Publications] Takei, Y., Kadomatsu, K., Matsuo, S., Nakazawa, K., Kubota, S., Muramatsu, T.: "Antisense oligonucleotides targetted to midkine, a heparin-binding growth factor, suppresses tumorigenicity of mouse rectal carcinoma cells"Cancer Res.. 61. 8485-8491 (2001)
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[Publications] Nemoto, T., Hori, H., Yoshimoto, M., Seyama, Y., Kubota, S.: "Overexpression of ornithine decarboxylase enhances endothelial proliferation by suppressing endostatin expression"Blood. 99. 1478-1481 (2002)