2001 Fiscal Year Annual Research Report
イオン輸送性上皮細胞に発現するプロテインキナーゼPASKの機能解析
Project/Area Number |
12670133
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
宇城 啓至 三重大学, 医学部, 助教授 (10151854)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 智斉 三重大学, 医学部, 助手 (40273370)
栢原 哲郎 三重大学, 医学部, 講師 (20024705)
中野 勝磨 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 教授 (30024623)
|
Keywords | プロテインキナーゼ / Ste20類縁キナーゼ / 細胞骨格 / アクチン結合蛋白 / 細胞ストレス / 腎臓遠位尿細管 / 脳脈絡叢 / ジーンターゲティング |
Research Abstract |
PASKは、Ste20類縁プロテインキナーゼファミリーに属し、脈絡叢上皮細胞、胃底腺壁細胞、腎臓遠位尿細管、副腎皮質球状帯細胞など電解質代謝に深く関わる細胞に強く発現している。本研究では、PASKの蛋白化学的な機能と生物学的機能について、次の成果を得た。 1.PASKは、生体内ではアクチンとチューブリンに結合しており、そのキナーゼドメインにアクチン結合部位が存在した。培養細胞では、PASKは熱などの細胞ストレスに応じてサイトゾルから細胞骨格に移行した。これらのことから、PASKは細胞骨格の制御に関わっていると考えられた(Tsutsumi,T.,et al.(2000)J.Biol.Chem.275,9157-9162)。 PASKのキナーゼドメインには細胞骨格結合部位が存在し、C端非触媒領域には細胞ストレス刺激下のみに細胞骨格と会合する部位が存在することから、PASKは、細胞ストレスに応じてキナーゼドメインとC端非触媒領域の2つの部位で細胞骨格会合し、キナーゼドメインはアクチン細胞骨格と、C端非触媒領域はアクチン以外の蛋白を介して細胞骨格と会合していると考えられた。 2.PASKの生物学的機能を解明するため、PASK遺伝子ターゲティングを行った。PASK欠失マウスは、外見上大きな異常がなく生育したものの、繁殖能のないオスが高率(2個体/5個体)に出現した。繁殖能のないオスの睾丸では、部分的に精細管が変性していた。更に、PASK欠失マウスには、腸管粘膜下に炎症細胞の浸潤があり、50-60週令になると、11例中9例に腸管腫癌の形成がみられた。現在、この腫癌の組織学的同定を行っている。 今後、上記形態学的異常の原因追及とともに、PASK変異マウス遺伝的背景が純系マウスと均一になったので、生殖行動や電解質代謝に関する生理学的実験を行い、PASKの生物学的機能を明らかにしたい。
|
Research Products
(14 results)
-
[Publications] Katsuma Nakano: "Neural circuits and topographic organization of the basal ganglia and related regions"Brain & Development. 22・Supp11. 5-16 (2000)
-
[Publications] Tomonari Tsutsumi: "Proline-and alanine-rich Ste20-related kinase associates with F-actin and translocates from the cytosol to cytoskeleton upon cellular stresses"The Journal of Biological Chemistry. 275・13. 9157-9162 (2000)
-
[Publications] Hong Lai: "Morphological evidence for a vestibulo-thalamo-striatal pathway via the parafasclcular nucleus in the rat"Brain Research. 872・1-2. 208-214 (2000)
-
[Publications] Hisashi Onishi: "Surgical anatomy of the medial segment(S4)of the liver with special reference to bile ducts and vessels"Hepatogastroenterology. 47・31. 143-150 (2000)
-
[Publications] Katsuma Nakano: "Neural circuits and functional organization of the striatum"Journal of Neurology. 274・Suppl5. 1-15 (2000)
-
[Publications] Tanemichi Chiba: "Efferent projections of infralimbic and prelimbic areas of the medial prefrontal cortex in the Japanese Monkey,Macaca fuscata"Brain Research. 888・1. 83-101 (2001)
-
[Publications] 中野勝磨: "「視床-update」視床の構造 形態の面から"18・8. 18-21 (2000)
-
[Publications] 中野勝磨: "大脳基底核の構造と機能 特集 Pasrkinson病治療の進歩-神経内科と脳神経外科の接点をめぐって-"日本臨牀. 58・10. 2-6 (2000)
-
[Publications] 中野勝磨: "大脳基底核の機能形態学(特集 大脳基底核をめぐって)"5・2. 10-13 (2000)
-
[Publications] 中野勝磨: "大脳基底核の構造(特集 「Parkinson病をめぐって)"Clinical Neuroscience. 19・6. 14-17 (2001)
-
[Publications] Katsuma Nakano: "The Basal Ganglia VI(eds.A.M.Graybiel and M.R.DeLong)(分担)"Plenum,New York(印刷中).
-
[Publications] Katsuma Nakano: "The Basal Ganglia VII(eds.L.M.Faull and Louise F.B.Nicholson)(分担)"Plenum,New York(印刷中).
-
[Publications] 中野勝磨: "「視床」(板倉徹、前田敏博 編著)視床の運動系神経回路(分担)"ブレーン出版、東京(印刷中).
-
[Publications] 中野勝磨: "神経解剖学(J.H.Martin著 嶋井和世、出浦滋之監訳)(共訳)第8、9章"広川書店、東京. 474 (2002)