2001 Fiscal Year Annual Research Report
疲労動物モデルの作成・評価法の開発と脳内における疲労関連分子・神経作用機序の解明
Project/Area Number |
12670145
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Research Institution | Osaka City University Graduate School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 夫左央 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (80271196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 恭良 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40144399)
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Keywords | 疲労 / 脳 / 強制水泳 / 行動 / グルコース / アシドーシス |
Research Abstract |
平成12年度に確立した水位変化式強制水泳変法(水温15℃、30分間の水泳)で疲労させたSDラットは、負荷後歩き出すまでに平均54分、身震い運動できるまでに平均84分を要した。この間に生体内で変化する分子のうち、何が疲労の客観的指標と成り得るかを、水泳後の経時変化を中心に検討した。血液では、従来からの筋肉疲労物質といわれている乳酸が、ピルピン酸とともに水泳中から増加し、塩基余剰(B.E.)、HCO_3^-の増加をともない、代謝性アシドーシスの状態になっていた。B.E.は負荷後30分で負荷前のレベルに回復したが、負荷後3時間まで血液中H^+濃度の上昇(pH低下)、動脈血CO_2分圧(pCO_2)の上昇が持続して観察された。つまり呼吸性アシドーシスの状態が続いていた。血液・体液の強い代謝アシドーシス(最低pHは7.1-7.2)は、種々の臓器・その構成細胞にとっても生存の危機的状態であり、一般的には2次的な防御的代償機構を動因し早期に回復させると考えられるが、このモデルでは水泳後に、横隔膜のグルコース取り込みが負荷終了後2時間以上にわたり低下していたことがわかった。つまり横隔膜が十分収縮できないため、呼吸性の生理的な代償機構が作用せず、むしろ呼吸機能の低下による呼吸性アシドーシスの状態が引き続きあったことより、疲労状態が30分以上も続いたと考察された。このように生体の危機に対して重要な生理的代償機構が作用しなくなることが疲労状態の持続因子となることが証明された。一方で脳全体へのグルコースの取り込み、つまり呼吸・循環中枢も含めた脳神経活動も水泳後3時間は低下しており、疲労状態が30分以上持続したことの一因として考えられた。中でも大脳皮質においては小脳・橋部に比べて低下率が大きかった。疲労時に脳の高次機能が低下することの一因と考えられた。
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