2002 Fiscal Year Annual Research Report
アミノグアニジンの抗白内障作用から視た白内障発症機構の解析
Project/Area Number |
12670150
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
猪股 光司 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所, 主任研究員 (30142649)
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Keywords | 白内障 / アミノグアニジン / 誘導型NO合成酵素 / カルパイン / カルシウムイオン / タンパク質分解 / クリスタリン |
Research Abstract |
我々は、遺伝性白内障ラットであるSCRを用いて水晶体の混濁化機構を研究している。これまでの解析から、白内障を発症する水晶体では誘導型のNO合成酵素(iNOS)が高発現していることを見出すとともに、iNOSが水晶体の混濁化に重要なカルシウムイオンの流入に関与することを示唆する結果を得ている。そこで本年度は、iNOSとカルシウムイオンの流入との関係をより明確にする目的で、iNOS由来のフリーラジカルと細胞内カルシウムイオン濃度の調節に関与する膜タンパク質との関連性を調べることを計画した。ところが、白内障水晶体で生ずるフリーラジカル(NO)量が少ないためか検出することはできなかった(市販のキットを用いて測定)。しかし、白内障発症へのiNOSの関与を明確にするためには不可欠の解析であり、水晶体の数を増やす(今年度は動物数に限りがあり実施できなかった)か感度の良い方法を開発するなど、再度試みる予定である。また、本研究では組織特異的なカルパインであるLp82によるタンパク質分解と水晶体の混濁化との関係についても解析した。その結果、Lp82によるクリスタリンの限定分解は組織普遍的なm-カルパインによる限定分解とは異なり、正常群の水晶体でも認められた。また、免疫組織化学的な解析からm-カルパインによる限定分解が混濁の出現部位に限局するのに対し、Lp82による限定分解は混濁が出現しない水晶体の皮質部でも起こることが明らかとなった。これらの結果から、Lp82に依存したタンパク質分解と水晶体の混濁化は直接的な関連性はないと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Inomata, M. et al.: "Comparison of Lp82-and m-calpain-mediated proteolysis during cataractogenesis in Shumiya cataract rat (SCR)"Curr. Eye Res.. 25(4). 207-213 (2002)
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[Publications] Manya, H. et al.: "Klotho protein deficiency leads to overactivation of μ-calpain"J. Biol. Chem.. 277(38). 35503-35508 (2002)
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[Publications] 鍋倉智裕: "遺伝性白内障UPLラット水晶体におけるカルパインおよび細胞膜Ca^<2+>-ATPaseの発現"日本白内障学会誌. 14. 49-52 (2002)