2000 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肝疾患での線維化過程における類洞壁細胞の変化-共焦点レーザー顕微鏡による3次元的解析-
Project/Area Number |
12670172
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
増田 友之 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10199698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 浩樹 岩手医科大学, 医学部, 助手 (50285582)
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Keywords | 類洞壁細胞 / 伊東細胞 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 正常肝 / ヒト / ラット / α smooth muscle actin |
Research Abstract |
本研究の目的は正常肝から慢性肝炎、肝硬変へと線維化が伸展する過程で、伊東細胞、類洞血管内皮、肝細胞が表出する線維化に関わる物質の局在を2次元的および3次元的に調べることにある。本年度は計画に従って正常肝での基礎的データの採取を行った。あわせて軽度線維化が生じた肝での観察も行った。 その結果、ヒト正常肝で伊東細胞を観察するにはα smooth muscle actinに対する抗体が最も良いことが判明した。一方、ラット肝ではα smooth muscle actinの発現は低く、glial fibrillary acidic proteinが最も優れていた。ヒト肝伊東細胞をα smooth muscle actin抗体で免疫染色して共焦点レーザー顕微鏡で3次元的に観察すると、2次元平面で観察した際と比較して、伊東細胞の複雑な細胞突起の全容を捉えることが可能になることが判った。伊東細胞は類洞内皮と肝細胞の間に位置し、細い樹枝状の細胞突起を四方に延ばし、その胞体と細胞突起で類洞内皮を囲むように存在していた。ヒト肝では伊東細胞の大きさ、細胞突起の長さに小葉内位置における差は見られなかったが、ラット肝ではRappaport's zone 2に分布する伊東細胞が最も大きく、heterogenityが存在することが判明した。死亡直前にうっ血が生じたと思われる剖検採取肝では、中心静脈周囲の伊東細胞はα smooth muscle actinの発現が強く見られ、うっ血、線維化に伴い、α smooth muscle actinが増量する可能性が示唆された。 これらの知見は平成13年度日本病理学会総会で報告すると共に現在学会誌への投稿を準備している。
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