2002 Fiscal Year Annual Research Report
特発性間質性肺炎と肺癌発生-高癌化状態と癌化規定因子の解明
Project/Area Number |
12670174
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
弘中 貢 自治医科大学, 医学部, 講師 (60322393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深山 正久 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70281293)
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Keywords | 特発性間質性肺炎 / 肺癌 / 遺伝子メチル化の異常 / K-ras遺伝子 |
Research Abstract |
平成13年〜14年度にかけて、特発性間質性肺炎(UIP)の蜂窩肺部ないしは間質性肺炎部の組織よりDNAを抽出し、p16、MGMT、DAP-kinase、RASSF1A、GSTP1、APCのメチル化の検討を施行した。各遺伝子のメチル化の頻度は、1)肺癌非合併UIP群21例:0/21(0%)、4/21(19%)、3/21(14%)、4/21(19%)、0/21(0%)、6/21(29%);(2)肺癌合併UIP群23例:0/23(0%)、4/23(17%)、4/23(17%)、5/23(22%)、0/23(0%)、7/23(30%);(3)肺癌合併UIP群の肺癌部:16/23(70%)、8/23(35%)、11/23(48%)、16/23(70%)、3/23(13%)、11/23(48%);(4)一般肺癌40例:12/40(30%)、8/40(20%)、16/40(40%)、11/40(28%)、7/40(18%)、18/40(45%);(5)一般肺癌正常肺部40例:0/40(0%)、0/40(0%)、5/40(13%)、0/40(0%)、0/40(0%)、0/40(40%)という結果を得た。UIPの肺癌非合併群と肺癌合併群には検討した遺伝子におけるメチル化に有意な差は認められなかった。しかし、UIP群では正常肺部と比較してMGMT、RASSF1A、APC遺伝子のメチル化が高率に生じていることが判明した。また、UIP合併肺癌は、一般肺癌と比べてp16とRASSF1A遺伝子のメチル化を高率に認めた。K-ras遺伝子の異常についてSSCP法を用いて検討したが、特発性間質性肺炎部にはK-ras遺伝子の異常は認められなかった。以上の結果より、特発性間質性肺炎における肺癌発生には、遺伝子メチル化異常の関与が、さらに肺癌発生においてはp16とRASSF1A遺伝子の関与が示唆された。
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