2000 Fiscal Year Annual Research Report
胃腺癌の胃型形質、腸型形質、および両形質混在型に分類した分子病理学的解析
Project/Area Number |
12670178
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
藤井 博昭 順天堂大学, 医学部, 講師 (50296836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 忠和 国立がんセンター, 中央病院・臨床検査部, 病理医長 (70119808)
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Keywords | 胃癌 / 胃型形質 / 腸型形質 / LOH / 粘液形質 / 癌抑制遺伝子 / マイクロサテライト / マイクロディセクション |
Research Abstract |
胃腺癌の胃型形質、腸型形質、および両形質混在型に分類した分子病理学的解析 粘液組織化学による胃癌の粘液形質の検索により、分化型胃腺癌の20-30%に胃型粘液形質すなわち腺窩上皮や幽門腺細胞形質を有することが明らかになってきた。この、形質分類により、各々の腫瘍に発生母地や生物学的、臨床病理学的差異があることが、報告されている。 そこで今回、我々は、胃腺癌を胃型、腸型、両形質混在型腺癌に分類し、遺伝的変化の解析を行なっている。各々粘膜内、浸潤部など複数個所よりマイクロディセクションし、多数染色体部位のマイクロサテライト・マーカーを用いて、系統的なLOH検索を行っている。形質毎に特徴的なLOHや腫瘍の発育進展パターンと遺伝的変異の蓄積との関係を調べている。 これまでに、胃癌16症例に付き、粘液染色により、胃型、腸型、および両形質混在型に分類し、複数箇所よりマイクロディセクションを行った。本報告現在、反応の繰り返しによる再確認、再ディセクションなどの必要性もあり、また、症例数不足により統計処理に至ってはいないなど、現在研究は進行中であるが、以下に概略する結果を得ている。 腸型優位胃癌では、5q LOHの頻度が高いが、17p LOHは低い。胃型優位では、腸型に比較してLOHの頻度や進展が多い傾向にある。l7pの他、8p,13q,18qのLOHも多く見られる。 また、同一症例でも異型度が高くなるに従い、LOHの蓄積が認められた。粘液形質を示す部位から粘液形質を欠く部位、LOM(lack of mucin)では、変異が進展している。Mixed typeでも腸型優位部位と胃型優位でLOHパターンに違いがありそうである。同一胃癌症例内で、胃型と腸型形質が、部位毎に分かれる症例で、ある染色体部位にLOHが両成分に共通しているが、腸型からLOHの蓄積を起こして胃型形質を獲得する症例があった。 以上、粘液形質で明らかにLOHパターンに違いが認められ、さらにLOHの進展と形質や異型度の変化に関係が認められつつある。今後の解析にて、両形質の分化型癌から進展して、浸潤進行癌、低分化型癌などへ至る経路を明らかにしたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Fujii H, et al.: "Genetic classification of combined hepatocellular-cholangiocarcinoma"Hum Pathol. 31. 1011-1017 (2000)
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[Publications] Yamano M,Fujii H, et al.: "Genetic progression and divergence in pancreatic carcinoma"Am J Pathol. 156. 2123-2133 (2000)
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[Publications] Jiang Y,Hirose S,Fujii H,Shirai T, et al.: "Polymorphisms in IgG Fc receptor IIB regulatory regions associated with autoimmune susceptibility"Immunogenetics. 51. 429-435 (2000)
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[Publications] Fujii H, et al.: "Frequent genetic heterogeneity in the clonal evolution of gynecological carcinosarcoma and its influence on phenotypic diversity"Cancer Res. 60. 114-120 (2000)
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[Publications] Yamasaki S,Tanaka S,Fujii H, et al.: "Monotypic epithelioid angiomyolipoma of the liver."Histopathology. 36. 451-456 (2000)
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[Publications] Graff JR,Gabrielson E,Fujii H, et al.: "Methylation Patterns of the E-cadherin 5' CpG Island Are Unstable and Reflect the Dynamic, Heterogeneous Loss of E-cadherin Expression during Metastatic Progression"J Biol Chem. 275. 2727-2732 (2000)