2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト大腸癌細胞の集団遊走におけるMMPの局在化と細胞間接着の部分的解離機構の解析
Project/Area Number |
12670210
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
鍋島 一樹 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (40189189)
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Keywords | 癌 / 浸潤・転移 / 細胞遊走 / HGF / SF / cohort migration |
Research Abstract |
本年度は癌細胞の集団移動(cohort migration,CM)における細胞間接着の部分的解離機構の解析を主として行った。 1)HGF/SF(hepatocyte growth factor/scatter factor)の刺激によってCMを呈する遊走細胞において、抗E-cadherin抗体を用いた免疫沈降法によりcell lysateから集められたE-cadherin-catenin複合体中のα-cateninは減少し、同時にIQGAP1は増加していた。これと相関して、IQGAP1の細胞質分画から細胞膜分画への移行が認められた。 2)IQGAP1は、免疫蛍光染色と共焦点レーザー顕微鏡による解析にて、遊走細胞下部の細胞間接着の解離部に一致して局在が認められた。 3)細胞外基質(ECM)成分(I型コラーゲン、フィブロネクチン)による遊走の亢進と、RGDペプチドによる遊走の阻害時には、それぞれIQGAP1のE-cadherinへの結合が増加、減少することが明らかとなり、HGF/SFからのシグナルと細胞・ECM接着由来のシグナル間でのクロストークによる細胞間接着の制御にIQGAP1が関与することが明らかとなった。 4)ヒト大腸組織の免疫組織化学的検討によって以下のことがわかった。正常大腸粘膜にでは、IQGAP1は表層上皮細胞のみに発現しているが、大腸癌においては、その発現は統計学的有意に亢進し、とくに浸潤先端部で強く認められた。癌においては、表層1/3よりも深部2/3において有意な発現増加が認められた。In vitroでの結果と合わせて、IQGAP1は大腸癌のCMによる浸潤メカニズムに関与していると考えられる。 現在IQGAP1の調節因子であるsmall G proteins(Rho,Rac1,cdc42)のdominant active/negative variantsのcDNAを癌細胞へ導入したクローンを得て、癌細胞浸潤の制御が可能かを検討中である。
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Research Products
(1 results)