2001 Fiscal Year Annual Research Report
脂質過酸化による特殊なPKC活性化と細胞傷害の分子機構
Project/Area Number |
12670216
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
竹腰 進 東海大学, 医学部, 講師 (70216878)
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Keywords | Diacylglycerol / Protein kinase C / Lipid peroxidation / Signal transduction / Glutathione peroxidase / MAP kinase / MEK / Erk |
Research Abstract |
初年度(平成12年度)の研究により、脂質過酸化により生じると考えられる過酸化ジアシルグリセロール(過酸化DAG)によって、PKCδを特異的に強く活性化することによりMAPキナーゼカスケードの過剰活性化が誘導され、最終的には微小管結合蛋白質であるtauの過燐酸化とともに微小管の崩壊が引き起こされることが神経細胞を用いた実験から明らかとなった。本年度(13年度)は、この過酸化DAGによる神経細胞傷害を抑制する因子としての抗酸化酵素(グルタチオンペルオキシダーゼ:GSH-PO)の意義を追求した。PKCδ高発現細胞をセレン添加あるいは欠乏状態で培養することによりGSH-PO(+)および(-)の細胞群を作製し(GSH-POの発現はセレン依存性)、過酸化DAGの細胞傷害作用を検討した。その結果、GSH-POを発現する細胞(セレン添加細胞)では過酸化DAGによる細胞生存率の減少は有意に抑制された。また、過酸化DAGによる神経突起のビーズ状の変性も殆ど認められなくなった。しかし、セレン欠乏細胞(GSH-PO(-))では過酸化DAGにより著明な神経細胞傷害が引き起こされた。また、GSH-PO様活性を有する薬剤(Ebselen)を培地中に添加することにより、GSH-PO(-)細胞においても過酸化DAGの傷害作用は著明に抑制された。これらの結果から、生体内に存在する抗酸化酵素の役割が明らかとなるとともに、外来性の抗酸化物質による[酸化ストレス→情報伝達異常]の抑制・防が可能であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Kambayashi, S.Takekoshi, K.Watanabe, Y.Yamamoto: "hospholipase C-dependent hydrolysis of phosphatidylcholine hydroperoxides to diacylglycerol hydroperoxide and its reduction by phospholipid hydroperoxide glutathione"Redox Report. (in press). (2002)
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[Publications] Masayuki Sone, Hidetaka Nagata, Susumu Takekoshi, R.et al: "Expression and localyzation of leptin receptor in the normal pituitary gland"Cell tissue Res. 305. 351-356 (2001)
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[Publications] 岩坂俊基, 梅村しのぶ, 柿本恒知, 竹腰進, 小泉治子, 長村義之: "ラット正常及び腫瘍乳腺におけるPRL-R mRNAの発現と調節について-Laser capture microdissectionを用いた検討-"乳癌基礎研究. 10. 1-6 (2001)