2001 Fiscal Year Annual Research Report
実験動物の大腸発がんにおけるβ-カテニン経路の異常と炎症関連酵素発現との関係
Project/Area Number |
12670225
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Research Institution | National Cancer Center |
Principal Investigator |
高橋 真美 国立がんセンター, 研究所・がん予防研究所, 研究員 (90214973)
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Keywords | 大腸がん / β-カテニン / INOS / COX-2 / K-ras / ラット / マウス |
Research Abstract |
β功テニンとKi-ras及び炎症関連酵素の発がん過程における役割及び相互の関連性を明らかにすることを目的として、培養細胞系を用いてβ-カテニンとKi-rasのこれらの酵素発現への関与についてを検討した。 1.正常培養細胞へのβ-カテニン及びKi-ras遺伝子の変異体の導入 大腸がん組織や大腸がん細胞株のRNAを用いてRT-PCR法を行うことによりβ-カテニン及びKi-ras遺伝子の変異体のcDNAを単離した。次に、ラット小腸上皮由来正常培養細胞にこれら変異体のcDNAを導入して過剰発現させ、iNOS及びCOX-2の発現誘導についてWestem blotting法により検討した。Ki-ras遺伝子のコドン12番の変異体(K-rasAsp12)を導入した細胞では、IL-1βやLPS刺激時のiNOSの発現が顕著に誘導されることが明らかとなった。β-カテニン変異体導入細胞では顕著な結果が得られなかったが、Ki-ras遺伝子に比べて導入効率が低いと考えられたので、今後、更に検討する必要がある。 2.Ki-ras変異体導入細胞に対するiNOS阻害剤の影響 K-rasAsp12導入細胞の軟塞天培地でのコロニー形成は、IL-1βやLPS刺激により顕著に増加し、NOS阻害剤によって減少した。また、ヌードマウスの皮下に移植したK-rasASP12導入細胞の増殖は、NOS阻害剤により抑制された。 3.iNOS遺伝子のプロモーター領域の解析 ラット大腸がん細胞におけるiNOS発現に関与するプロモーター領域について解析するため、レポーター遺伝子アッセイ系及びゲルシフトアッセイ系を構築した。詳細については現在解析中である。 以上のことより、Ki-ras遺伝子の変異がIL-1βやLPS刺激存在下でiNOSの発現を誘導し、発がんに重要な役割を果している可能性が示峻された。
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