2000 Fiscal Year Annual Research Report
扁形動物のミトコンドリアゲノム(テニア科条虫の系統分類と分子疫学への展開)
Project/Area Number |
12670228
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
中尾 稔 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70155670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 亮 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70054020)
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Keywords | 扁形動物 / ミトコンドリア / ゲノム |
Research Abstract |
扁形動物ミトコンドリアの変則遺伝暗号を再検討するために、条虫類(多包条虫・単包条虫・無鉤条虫・有鉤条虫・小形条虫など)のcytochrome c oxidase subunit I(COI)、ならびにATPase subunit 6(ATP6)遺伝子の塩基配列を比較した。従来使用されていた遺伝暗号表は概ね正しかったが、プラナリアで定義されたUAA=チロシンは、条虫類では終止コドンとすべきことが判明した。また、AUG以外にGUGを開始コドンとして追加した。ゲノムシークエンシングに関しては、有鉤条虫ミトコンドリアゲノムの全塩基配列を決定した。このゲノムは、総塩基数13,709bpからなり、酸化的リン酸化に関連する蛋白遺伝子12個、rRNA遺伝子2個、tRNA遺伝子22個、さらに複製・転写に関わる領域が隙間なく並んでいた。すべての遺伝子は同一鎖に存在し、その配置は多包条虫ミトコンドリアのものと全く同じだった。NADH dehydrogenase subunit 1(ND1)遺伝子には通常の終止コドンが存在せず、転写後に下流のアスパラギンtRNAが切り出され、ポリアデニル化により、ND1遺伝子の終末にUAAの終止コドンがつくられると考えられた。ゲノムのセンス鎖の塩基組成は、A:25.4%、G:19.7%、T:46.6%、C:8.3%で、Tへの極端なバイアスはコドンの使用頻度に影響を与え、推定された蛋白分子はロイシン(UUR,CUN)・フェニルアラニン(UUY)・バリン(GUN)などの疎水性アミノ酸が多用されていた。各蛋白質についてアミノ酸配列の相同性を他の動物門と比較すると、扁形動物以外ではほぼ等しく異なっており、扁形動物が他の動物門から孤立したものであることが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Nakao M,Sako Y,Yokoyama N,Fukunaga M,Ito A: "Mitochondrial genetic code in cestodes"Mol.Biochem.Parasitol.. 111. 415-424 (2000)