2000 Fiscal Year Annual Research Report
ピロリ菌のライフサイクルに対する環境因子及び抗酸化物質の影響
Project/Area Number |
12670248
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三宅 眞実 千葉大学, 医学部, 助手 (10251175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 公俊 千葉大学, 医学部, 教授 (60164703)
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Keywords | Helicobacter / pylori / ピロリ菌 / coccoid / 球状化 / 増殖・分化 / 還元剤 / 分子量 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ピロリ菌がどんな刺激に反応して、ライフサイクルの1形態である球状化へ至るのかを明らかにすることである。これまでに明らかにした点を以下に要約する。 1)菌の増殖基礎培地(BHIA)の開発 一般的にピロリ菌は血液か血清を5%添加した培地を用いて培養されている。検討の結果、BHI基礎培地に低濃度のアルブミンを添加した培地で菌を充分増殖させる条件を発見した。この単純な培地は培養液中の球状化促進物質(以下、CF)を分離・同定するために理想的であった。 2)BHIA中での球状化の確認 BHIAで48時間以上菌を培養し、この培養上清中で、球状化していない対数増殖期の桿状菌体を10〜20時間培養すると、菌の球状化が見られた。一方、同条件下で同じ桿状菌体を新鮮培地中で培養しても球状体は出現しなかった。 3)マイクロプレートを使用した培養法の開発 CFを同定・解析するためには、数十種の条件下で同時に菌を培養することが必要であるが、ピロリ菌の培養は微好気条件下で行う必要があったため、従来法では一度の実験で比較できる条件数は限られていた。これを克服するため96穴マイクロプレートを使用した培養法を開発し、100検体以上を同一条件下で検討することを可能にした。 4)CFの諸性状 上記球状菌アッセイ法を使用して検討を加えた結果、CFは、100℃、10分間処理で失活しない、分子量3,000以下の低分子で、還元剤処理でその活性が失活することを明らかにした。 現在、上記の結果を反映させた方法でCFの精製を進めており、CFがピロリ菌の球状化を引き起こすメカニズムを詳細に検討する予定である。
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Research Products
(1 results)