2000 Fiscal Year Annual Research Report
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12670292
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
伊藤 正恵 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 主任研究員 (10201328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 博 神戸大学, 医学部, 教授 (40116249)
中川 直子 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 主任研究員 (10280835)
奥野 良信 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, ウイルス課長 (30112064)
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Keywords | センダイウイルス / インターフェロン / アポトーシス / シグナル伝達 / 抗ウイルス作用 / 病原性 |
Research Abstract |
1)C(del10-15)変異株での検討 センダイウイルスのN末端の長さの異なる4種のC蛋白のうち、長い2種のC'およびCを欠損し、短いY1およびY2だけを持つ変異株がアポトーシスを誘導しかつ弱毒化されていることから、C蛋白のN末端部分の機能を調べるため、10-15位のアミノ酸を欠損する変異株を作製してその性状を検討した。その結果、C蛋白上の10-15位のアミノ酸は、インターフェロンのシグナル伝達に重要なSTAT1の安定化の阻害、宿主の抗ウイルス作用への抵抗、アポトーシスの誘導に不可欠であることが明らかとなった。ところが驚いたことに、STAT1のリン酸化およびインターフェロン活性化遺伝子(ISGs)の転写活性化の阻害には関与していなかった。この機構については今後解析が必要である。また、この部位を欠損するとマウスに対する病原性が減弱することが動物実験で確認された。一方、10-15位のアミノ酸は、ウイルスRNAポリメラーゼ抑制作用には必須ではなかった。 2)C170S変異林での検討 C蛋白の170位がPheからSerに変異したC170S変異株では、あらゆる点で親株と異なり、RNAポリメラーゼ抑制活性の低下、STAT1の安定化およびリン酸化に対する阻害活性の減弱(結果的に促進)、ISGsの転写促進、アポトーシスの促進、抗ウイルス作用の喪失ならびにマウスに対する弱毒化が観察され、170FがC蛋白の機能の発揮に非常に重要であることが確認された。一方、子孫ウイルス産生は正常に起こるので、粒子形成には関与が薄いと考えられる。 C170S変異株は、インターフェロンレセプター欠損マウスにおいても、正常マウスと同程度に弱毒であり、その病原性の低下がC蛋白の抗インターフェロン活性だけでは説明できないことが示された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 伊藤正恵: "センダイウイルスの病原性に関わるタンパク質"バイオサイエンスとインダストリー. 58. 32-35 (2000)
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[Publications] Nakagawa,Naoko: "Heterogeneity of influenza B virus strains in one epidemic season differenciated by monoclonal antibodies and nucleotide sequences."Journal of Clinical Microbiology. 38. 3467-3469 (2000)
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[Publications] Nakagawa,Naoko: "Characterization of new epidemic strains of influenza B virus by using neutralizing monoclonal antibodies."Journal of Medical Virology. (in press). (2001)
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[Publications] 奥野良信: "インフルエンザワクチンの現況"医学のあゆみ. 192. 1186-1187 (2000)
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[Publications] Song,Jian: "Nuclear localization and intramolecular cleavage of N-terminally deleted NS5A protein of hepatitis C virus."Virus Research. 69. 109-117 (2000)
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[Publications] Wang,Fan: "Complex formation between hepatitis C virus core protein and p21Waf1/Cip1/Sdi1."Biochemistry Biophisics Research Commune. 273. 479-484 (2000)
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[Publications] 奥野良信: "インフルエンザのすべて-その臨床最前線-"新興医学出版社. 134 (2000)