2000 Fiscal Year Annual Research Report
成熟Tリンパ球の細胞死を抑制し生存を支持する因子の同定
Project/Area Number |
12670298
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 治彦 名古屋大学, 医学部, 助教授 (90283431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 昌志 名古屋大学, 医学部, 助教授 (10281073)
中島 泉 名古屋大学, 医学部, 教授 (40022826)
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Keywords | 静止期T細胞 / 生存因子 / リンパ節ストロマ細胞 / cDNAクローニング |
Research Abstract |
我々は、本研究に先立ちインターロイキン-2受容体β鎖ノックアウトマウスの腫大したリンパ節からリンパ節ストロマ細胞の試験管内培養系を確立できること、このストロマ細胞と共培養することによって静止期T細胞を刺激せずに生存させ培養できることを見い出してきたが、本研究では、このストロマ細胞の出す静止期T細胞の生存を支持する因子の同定とその特徴について解析を加えた。 1.T細胞生存支持因子の遺伝子クローニングの試み リンパ節ストロマ細胞よりmRNAを抽出し、cDNAライブラリーを作成した。これを約100クローンを1プールとしてCOS7細胞に導入し、2日ないしは5日間静止期T細胞と共培養し、T細胞の生存率を指標にスクリーニングを行った。生存率の高かったプールについてクローンごとの2次スクリーニングを行い、生存率の高いクローンを同定した。現在、約8万クローン(800プール)までスクリーニングを進めており、5〜6クローンの候補を得ている。これらのクローンについてその塩基配列を決定し、既知の遺伝子との比較検討を行う予定である。 2.リンパ節ストロマ細胞より出るT細胞生存支持因子の特徴について リンパ節ストロマ細胞より出る因子と比較して、IL-4、IL6、IL-7、IFN-β、についてそのT細胞に対する作用を検討した。これら4つの既知の因子は、いずれも静止期T細胞の生存率を高める作用があったが、以下の点でリンパ節ストロマ細胞より出る因子とは異なることが明らかとなった。 (1)IL-4、IL6、IL-7はT細胞に増殖を引き起こすが、ストロマ細胞由来因子は増殖を引き起こさない。 (2)IL-4、IL6、IFN-βはT細胞のbcl-2の発現を高めるが、ストロマ細胞由来因子はbcl-2発現に変化を与えない。 (3)この4つの因子に対する中和抗体を全て加えても、ストロマ細胞のT細胞生存支持作用は阻害できない。 以上の結果から、リンパ節ストロマ細胞からはIL-4、IL6、IL-7、IFN-β以外の因子が出され、この因子がT細胞の非増殖性生存を支持していると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Du J,Suzuki H,Nagase F,Akhand AA,Miyata T,Nakashima I et al.: "Methylglyoxal induces apoptosis in Jurkat leukemia T cells by activating c-Jun N-terminal kinase."Journal of Cellular Biochemistry. 77. 333-344 (2000)
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[Publications] Du J,Suzuki H,Nagase F,Akhand AA,Yokoyama T.Nakashima I: "Mercuric chloride stimulates distinct signal transduction pathway for DNA synthesis in a T-cell line, CTLL-2."Journal of Cellular Biochemistry. 78. 500-508 (2000)
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[Publications] Hossain K,Akhand AA,Kato M,Suzuki H,Nakashima I et al.: "Arsenite Induces Apoptosis of Murine T Lymphocytes Through Membrane Raft-Linked Signaling for Activation of c-Jun Amino-Terminal Kinase"Journal of Immunology. 165. 4290-4297 (2000)
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[Publications] Wu J,Suzuki H,Zhou YW.Kato M,Akhand AA,Nakashima I et al.: "Cepharanthine activates caspase and induces apoptosis in Jurkat and K562 human leukemia cell lines."Journal of Cellular Biochemistry. (In press).