2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670310
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
中野 直子 東京理科大学, 生命科学研究所, 助教授 (90222166)
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Keywords | 免疫調節 / T細胞 / トランスフォーミンググロースファクターβ1 |
Research Abstract |
抗原ペプチドはT細胞レセプター(TCR)を介して活性化のシグナルを誘導するのに対して、一部に変異を加えた変異ペプチドはそのアフィニティーあるいは、結合のカイネティックスの違いにより質的に異なったシグナルを誘導し、T細胞の分化や機能発現に変化をもたらす。これが生体内での免疫調節機構に重要であると考えられる。特異的ペプチドMCC88-103のTCRの認識部位に変異を導入したペプチド99Eあるいは102Eを自己ペプチドとして発現しているトランスジェニックマウスとMCC88-103反応性TCRトランスジェニックマウスを交配したダブルトランスジェンックマウスにおいて、MCC88-103反応性T細胞は、末梢でTGF-β1産生T細胞に分化しており、CD44high,Mel-14low,CD25+,CD45RBlowのレギュラトリーT細胞のフェノタイプを示し、アナジー状態にあることが分かった。ダブルトランスジェニックマウスの胸腺のCD4+細胞は、すでにCD44high,CD25+になっており、このような細胞への分化は、胸腺でCD4+T細胞へ分化する際に決定することが明らかになった。このことは、胸腺でMCC88-103反応性T細胞が自己MHCが提示する変異ペプチド99Eあるいは102Eより分化のシグナルを得ていることを意味しており、興味深い。また、99Eあるいは102EがMCC88-103反応性T細胞にTGF-β1の発現を誘導することがわかり、変異ペプチドはTCRを介して異なるシグナルを誘導することが明らかになった。このダブルトランスジェニックマウスを用い、今後T細胞にTGF-β1の発現を誘導する分子を同定することが可能になると考えられる。
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