2002 Fiscal Year Annual Research Report
発がんリスク評価のための環境変異源に特異的なゲノム損傷の探索
Project/Area Number |
12670337
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
島田 義也 放射線医学総合研究所, 低線量プロジェクト, サブリーダー (10201550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 まゆみ 放射線医学総合研究所, 低線量プロジェクト, 主任研究員 (70218204)
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Keywords | T細胞白血病 / Ikaros / p15 / 放射線 |
Research Abstract |
B6C3F1マウスに、X線(1.6Gy×4回)、エチルニトロソウレア(ENU:400PPmの飲料水、6週間)を処理し、T細胞白血病(TL)を誘発した。昨年、X線誘発TLでは、Ikaros遣伝子の変異が50%にみられ、そのほとんどは、Ikaros遣伝子領域のヘテロ接合性の消失(LOH)を伴うものであった。一方、ENU誘発のTLでは、Ikarosの変異は10%で、そのほとんどは、LOHを伴っていなかった。一方、K-rasの突然変異はどちらも、20%程度で大きな差はなかった。本年は、p15遺伝子のプロモーター領域のメチル化の程度を比較した。 近年、ヒトのT細胞白血病で、癌抑制遣伝子であるp15遣伝子の発現がプロモターのメチル化によって抑制されていると報告され、その後、マウスのTLでもp15遣伝子のメチル化が報告された。そこで、X線誘発とENU誘発のp15のメチル化を塩基配列レベルで比較した。その結果、X線誘発TLでは、14例中7例(50%)にメチル化が観察されたが、16例中2例(13%)のみであった。また、X線誘発TLでは、調べたCpGのほとんどがメチル化しているサンプルもあり、X線誘発TLは、ENU誘発TLに比べp15のメチル化の程度が高いことが明らかとなった。さらに、X線誘発でのみメチル化しているCpGがあり、このメチル化も放射線TLのマーカーになる可能性が示唆された。今後、ENUによる発がんの原因遣伝子を同定しなければならないが、今回の研究でIkarosの突然変異やp15のメチル化が、放射線発がんのマーカーとなる変化であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shimada, Y., et al.: "Genetic susceptibility to thymic lymphomas and K-ras gene mutation in mice after exposure to X-rays and N-ethyl-N-nitrosourea."Int.J.Radiat.Biol.. (in press). (2003)
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[Publications] Yamauch, M., et al.: "Effect of SCID mutation on the occurrence of mouse Pc-1 (Ms6-hm) germline mutations."Mutat.Res.. 503. 43-49 (2002)
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[Publications] Kakinuma, S., et al.: "Spectrum of Ikaros inactivation and its association with loss of heterozygosity in radiogenic T-cell lymphomas in susceptible B6C3F1"Radiat.Res.. 157. 331-340 (2002)