2001 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の日常生活動作能力低下と早期死亡の間で関連要因の差異を明らかにする縦断研究
Project/Area Number |
12670361
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
安田 誠史 高知医科大学, 医学部, 助教授 (30240899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 啓志 高知医科大学, 医学部, 教授 (00033209)
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Keywords | 高齢者 / 日常生活動作能力 / 健康診査 / 縦断研究 |
Research Abstract |
本年度は、高齢者の健康診査所見が、その後の日常生活動作能力低下に及ぼす影響を、早期死亡との関連を考慮したうえで検討した。昨年度の検討で解析対象とした、高知県大月町で、平成3年に実施された生活と健康に関する質問紙調査への回答者で、当時、日常生活動作能力Activities of Daily Living(ADL)6項目(食事、用便、更衣、整容、入浴、歩行)すべてが自立していた1,250名のうち、平成3年度に同町で実施された老人保健法による基本健康診査を受診し、本研究期間中に実施した、現在の日常生活動作能力を尋ねた追跡質問紙調査に回答した688名を解析対象とした。追跡調査時にも日常生活動作能力に障害がなかった者は422名、1項目以上で手助けが必要になった者は60名、日常生活動作能力が不明な者は5名、追跡調査時までに死亡した者は109名、転出者は92名であった。追跡時「死亡」、「日常生活動作能力低下」、「日常生活動作能力維持」の3つのカテゴリーからなる変数を目的変数とし、追跡開始時の健康診査所見(血圧、血清コレステロール、トランスアミナーゼGOT、γ-GTP、ヘモグロビン濃度、Body Mass Index)それぞれを説明変数とする、多項ロジスティック回帰モデルをあてはめて検討した。性、年齢を調整した検討では、日常生活動作能力低下のみに有意に関連する健康診査所見として、肝機能検査GOTの値が上位1/2(下位1/2に対するADL低下のオッズ比=1.9、95%信頼区間1.0-3.4)と、Body Mass Indexが非至適(至適に対するADL低下のオッズ比=3.1、95%信頼区間1.3-7.5)が検出された。これらの健康診査所見は、高齢者の、機能的健康水準が高い寿命進展の関連要因として意義を持つと考えられる。なお、健康診査所見は役場担当部署の協力を得て収集され、解析用データファイルからは個人識別情報が削除された。このように、倫理的な配慮をして研究を実施した。
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