2000 Fiscal Year Annual Research Report
日本・韓国・インドネシアにおける出生力低下メカニズムに関する比較人口生態学研究
Project/Area Number |
12670368
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
高坂 宏一 杏林大学, 保健学部, 教授 (00146557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 有利子 杏林大学, 保健学部, 講師 (50265766)
出嶋 靖志 杏林大学, 保健学部, 講師 (00237025)
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Keywords | 日本 / 韓国 / インドネシア / 出生力低下 / 出生性比 / 男児選好 |
Research Abstract |
本(初)年度の研究は分析対象3カ国(日本、韓国、インドネシア)の文献・資料・データの収集を主要な目的とし、収集状況に応じて、データの入力、分析を進めることであった。従来の研究で、ほとんど手をつけることがなく、またそうした理由から、研究対象国の中で最も資料・データの蓄積がなかった韓国について、文献・資料とともに、分析に耐え得るデータをかなり収集することができた。日本についても最新のデータ、資料を収集することができた。インドネシアについては収集が進まなかった。韓国について分析を進め、以下の途中結果が得られた。分析に使用した資料・データは、韓国経済企画院調査統計局が公表している人口動態現況(1970〜1980)と統計庁が公表している人口動態年報(1981〜1998)である。韓国の過去38年間(1960〜1998)の出生力の推移は、ほぼ自然出生力のレベルにあった1960年の6.0(TFR)から1980年代前半の2.1を経過して、1998年に1.48まで低下したと概説することができる。こうした出生力低下傾向の中、上記資料・データの分析の結果、出生順位別の出生性比がきわめて特異的な推移を示したことが分かった。出生力がほぼ人口の置換水準まで低下した時期の1980年を境に出生順位別の出生性比が大きく変化していた。第3子と第4子の出生性比は1980年以降急激に増加し、第3子は1993年に241.1、第4子は1994年に202.8に達した。それ以降低下傾向を示したが、それでも近年150前後の高さにある。第1子、第2子についても、第3子や第4子ほど極端な現象ではないが、特徴的な変動が見られた。韓国の出生現象の中で、きわめて重要な社会文化的要因として"男児選好"を念頭に、更に分析を進める予定である。日本については分析を始めたばかりである。インドネシアについては最新のデータ・資料の収集・分析が次年度の最重要の課題である。
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