2000 Fiscal Year Annual Research Report
難燃剤臭化ビフェニルエーテルによる日本の都市部の環境、食事及び人体汚染実態の解明
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12670371
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
太田 壮一 摂南大学, 薬学部, 助教授 (10213729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青笹 治 摂南大学, 薬学部, 助手 (20248066)
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Keywords | 臭化ビフェニルエーテル / PBDEs / 魚摂取頻度 / 母乳 / 汚染実態 / 蓄積性 / 胎児毒性 |
Research Abstract |
今回、研究代表者らは、多くの研究者によって現在まで汎用されている、PCB等の物性が異なる単一の内標準物質を用いたECD-GC法や低分解能GC-MS法よるの分析法に代えて、より信憑性のあるPBDEsの新規分析法を構築することを目的として、新たに合成依頼した3〜6臭素化体の6種類のアイソトープ標準品を用いて、高分解能並びに低分解能GC-MSによる高精度微量分析法(SIM法)の構築を試みた。その結果、低分解能GC-MSの場合、野菜試料中のPBDEsを定量する場合に感度等の面で問題はあったものの、それ以外の試料に関しては、両者共に、極めて良好なクロマトグラム及び近似した定量値が観察された。次に、我が国のPBDEsによる市販魚介類中の汚染実態について検討した結果、ハマチ、サバ、ブリ、サケ、アサリ、マグロの順で汚染されていることが認められた。とりわけ、ハマチの可食部中に総濃度で1685pg/g fresh wt.の極めて高濃度のPBDEsの蓄積が観察されたのに対して、最も低濃度の魚種としては、マグロの21.5pg/g fresh wt.であった。さらに、食事嗜好について予めアンケート調査を行った12人の初産婦の母乳(1ヶ月目)試料中のPBDEs蓄積濃度の比較を試みた。その結果、魚多食者(毎日;5人)と魚小食者(週1〜2回以下;3人)の蓄積平均濃度は、それぞれ1724と774pg/g lipidと顕著な差が観察され、魚の摂取頻度と人体汚染とは相関性が高いものと推察した。また、母乳と魚試料中の異性体について詳細に解析した結果、母乳には魚と同様に2,2',4,4'-TeBDEが共通して最も高濃度に蓄積していることが観察されていたが、特徴的なこととして2,2',4,4',5,5'-HxBDEが母乳試料にのみ高比率で蓄積していることが判明した。一方、その他の食品として食肉(鳥、豚、牛)や野菜(ホウレン草、ジャガイモ、ニンジン)についても検討を行ったが、魚の濃度と比較した場合、それらは極めて低いことが認められ、これら食品による人体汚染への関与は低いものと推察した。
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