2001 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール慢性摂取が動脈硬化の進展に及ぼす影響の免疫分子生物学的解析
Project/Area Number |
12670393
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上野 易弘 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30184956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 水辺 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90283879)
足立 順子 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40030887)
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Keywords | アルコール / 動脈硬化 / C型ナトリウム利尿ペプチド / 動脈内皮 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、神戸大学医学部法医学教室における剖検例のうち、遺族の同意を得た剖検例から大動脈(腹部)及び冠状動脈(前下行枝)を採取した。生前にアルコール依存症と診断されていたか、日常生活歴等から常習的アルコール多飲者と考えられる剖検例をアルコール多飲酒群(男3例、女1例の計4例。平均年齢58.8±13.02歳)とし、年齢その他の動脈硬化促進因子についてアルコール多飲酒群と条件が同様で、適量以下の飲酒者又は無飲酒者の剖検例を対照群(男1例、女1例の計2例。平均年齢63.5±12.02歳)として集めた。動脈をホルマリン固定後、パラフィン包埋組織切片を作成した。一般的組織染色の他、血管内皮におけるC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)と血管内皮増殖因子(VEGF)をそれぞれ抗CNP抗体、抗VEGF抗体を用いて免疫染色し、多飲酒群と対照群との動脈壁内皮における染色性を比較した。 結果 (1)肉眼的及び一般染色所見では、冠状動脈では多飲酒群の方が対照群より動脈硬化の程度は低く、一方、大動脈では両群間に差異は認められなかった。 (2)両群共に、大動脈よりも冠状動脈でCNPの強い発現が認められた。多飲酒群と対照群の大動脈内皮におけるCNPの発現に明らかな差異は認められなかった。冠状動脈内皮は、多飲酒群の方が動脈硬化による肥厚部内皮の染色性が軽度亢進し、内膜繊維層もやや強く染色され、冠状動脈内皮におけるCNP発現の亢進が考えられた。 (3)多飲酒群では、大動脈と冠状動脈のいずれにおいてもVEGF陽性細胞は対照群に比べて少なく、VEGFの発現が少ないと考えられた。即ち、アルコール多飲者の動脈硬化が軽度である事に、アルコールによるVEGF発現の抑制が関係する可能性が考えられた。
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