2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳内カテコールアミンに対するアセトアルデヒドの影響
Project/Area Number |
12670396
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Research Institution | Kagawa Medical University |
Principal Investigator |
井尻 巌 香川医科大学, 医学部, 教授 (90113183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱田 繁 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10068463)
岡田 尚子 香川医科大学, 医学部, 助手 (90346643)
飴野 清 香川医科大学, 医学部, 助教授 (50019626)
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Keywords | エタノール / アセトアルデヒド / シアナマイド / マイクロダイアリーシス / サルソリノール / 神経伝達物質 |
Research Abstract |
これまでラットの線状体と側坐核をかん流し、血中アセトアルデヒドの増加によりかん流液中のドパミンとセロトニンには経時的に変化はみられなかったが、ドパミンとアセトアルデヒドの縮合体であるサルソリノールが血中アセトアルデヒド濃度に相関して増加することを見い出し、またセロトニンとの縮合体であるβ-カルボリンも形成されている可能性を見い出した(標品がないため特定に至っていない)。 本年度はノルエピネフリンについて検討を行ったが、線状体と側坐核のかん流では、特に変動は認められなかった。また、嗜好性ラットと嗜好性のないラットについて同様のかん流実験を試みたが、これら二群間には明らかな差異はみられなかった。これまでの実験はドパミンやセロトニンの多い部位でのかん流実験であり、脳の他の部位でのかん流も必要かと思われるが、アルコール依存に関与していると考えられているサルソリノールがアセトアルデヒドの濃度依存性に増加することが判明し、同じくβ-カルボリンも形成される可能性が示唆されたことから、アルコール依存にはエタノールよりアセトアルデヒドが関与している可能性が示唆された。本実験法により脳内における種々の神経伝達物質の変動や化学性に富むアセトアルデヒドとの結合体が今後見い出せる可能性が高いものと考えている。 現在、神経伝達物質であるアセチールコリンに目標をあて、ラットの前頭葉をかん流し、血中アセトアルデヒドの増加によりアセチールコリンが減少していることを見い出し、アセチールコリンの脳内での変動について現在実験を継続している。
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[Publications] Mostofa Jamal: "アセトアルデヒドの神経伝達物質への影響(3)"アルコールと医学生物学. 22巻. 10-14 (2002)
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[Publications] Mostofa Jamal: "Effect of different doses of cyanamide on striatal salsolinol formation after ethanol treatment"Legal Medicine. Vol.5(in press). (2002)
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[Publications] Mostofa Jamal: "In vivo formation of salsolinol induced by high acetaldehyde concentration in rat striatum employing microdialysis"Alcohol & Alcoholism. 38・3(in press). (2003)