2000 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素中毒における中枢神経障害発現機序に関する研究
Project/Area Number |
12670406
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
原 修一 東京医科大学, 医学部, 講師 (70208651)
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Keywords | 一酸化炭素 / マイクロダイアリシス / ドパミン / ドパミン代謝物 / モノアミンオキシダーゼ / テトロドトキシン / クロルジリン / ノミフェンシン |
Research Abstract |
一酸化炭素(CO)のラット線条体dopamine(DA)神経系に対する影響についてin vivo microdialysis法により検討した。CO1000-3000ppmを40分間暴露したところ、CO濃度の増加に従って血中carboxyhemoglobin濃度が上昇し、これに依存した細胞外DA濃度の増加およびその主代謝物であるDOPACおよびHVAの細胞外濃度の減少が認められた。CO2000および3000ppmでは、暴露中止後DA代謝物が著明に増加した。MAO-A阻害薬clorgyline(CLO)は、CO1000ppmの作用を完全にマスクしたが、CO3000ppmによるDA増加を著明に増強し、暴露中止後のDA代謝物増加を完全に消失させた。Tetrodotoxinは、CO3000ppmによるDA増加だけでなく、暴露中止後のDA代謝物増加をも完全に消失させた。一方、Ca-free条件下ではDA放出量は著しく減少したが、CO3000ppm暴露によるDA増加および暴露中止後のDA代謝物の増加はともに詔められた。DA reuptake阻害薬nomifensine(NOM)は、CO3000ppmによるDA増加を増強した。この場合、CO暴露中止後DA代謝物も増加した。NOMとCLOの併用では、DA増加はさらに強く増強されたが、CO暴露中止後のDA代謝物の増加は完全には消失しなかった。このような結果から、低濃度のCOは、MAOを阻害してDAを増加させるが、高濃度ではさらに強いMAO阻害に加え、脱分極性で外液Ca^<2+>非依存性のDA放出を促進してラット線条体の細胞外DAを増加させることが明らかとなった。一方、CO暴露中止後の細胞外DA代謝物の増加は、MAO-Aを介するDA代謝の促進によることが示唆された。
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