2001 Fiscal Year Annual Research Report
虐待児童とストレス負荷動物の胸腺退縮に関わるチロシンリン酸化情報伝達経路の解析
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12670409
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
西尾 元 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (90253260)
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Keywords | 胸腺 / チロシンリン酸化 / サイトカイン / 児童虐待 / ストレス |
Research Abstract |
これまでの研究から、JAKやsrc-familyに属するチロシンリン酸化情報伝達経路がストレス負荷時の胸腺内で負に調節されていることが明らかとなった。本研究の最終的な目的である虐待児童の診断に有用な分子マーカーの検索に向けて、本年度は研究実施計画に記載したように動物実験及び実際の虐待児童の血液中にそのようなマーカーの同定を試みた。 JAKやsrc-familyに属するチロシンリン酸化情報伝達経路が各種サイトカインの細胞内の情報伝達経路として重要であることがよく知られていることから、特にサイトカインの定量を行った。サイトカインは大きくTh1とTh2に属するものに大別される。本実験では、Th1に属するサイトカインとしてインターロイキン2(IL2)、Th2としてインターロイキン4(IL4)についてコントロールとストレス負荷時の実験動物(ラット)の血液中のこれらサイトカインの定量を行った。この結果、ストレスを負荷したラット血液中ではコントロールのものと比較してIL2は約30%低下していることが明らかとなった。IL4についてはやや低下する傾向にあったもののコントロールとの有意差は観察されなかった。また、実際の虐待症例(解剖されたもの)について上記サイトカインの定量を行った。これらの症例数に限りがあることから、明らかな結論を出すことは困難であるが、ラットで観察されたようなサイトカインの減少は観察されなかった。コントロールとして用いた剖検例の血中サイトカイン量が低値であったことから、この結果はサイトカインの死後変化による分解のためと考えられた。 サイトカインを虐待のマーカーとすることは剖検時の診断には適していないと判断されたが、生前の診断には有用である可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] NISHIO, H. et al.: "Possible involvement of fynkinase in ethaucl-stimulated cas tyrosine phcsphory lation in rat cerebellam and cerebnal cortex"Jourual of Neurochemistry. 76(4). 1073-1079 (2001)
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[Publications] NISHIO, H. et al.: "Immunolocalization of the mifogen-activated protein kinase signaling pathway in Hassall's curpuscle of the human thymas"Acta histochemica. 103(1). 89-98 (2001)
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[Publications] NISHIO, H. et al.: "Immunolocalization of the janus kinases(JAK)-sigunal transducers and activators of transcription (STAT) padhutry in human epidermis"Journal of Anafomy. 198(5). 581-589 (2001)
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[Publications] NISHIO, H. et al.: "Immunohistochemical study of the phesphoy loted and activated form of c-Jun NH_2-termiual kinase in human aorta"Histochemical Journal. 33(3). 167-171 (2001)
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[Publications] NISHIO, H. et al.: "Afatal case of amniotic fluid ewbolism with elevation of serum mast cell tryptase"Forensic Science International. (in press). (2002)