Research Abstract |
岡山大学医学部附属病院,国立病院四国がんセンター,岡山労災病院で30歳未満の肺癌登録20例認められた。これらの症例を四国がんセンターの全肺癌患者1851例を対象に解析を行うと,男性,体重減少,PS(Performance Status),不良例,血清LDH高値,病期II・IV期の予後が有意に悪いことが示された。30歳未満の患者で4名が類表皮癌患者で,一般の対象症例より有意(p<0.001)に頻度が高いことが示された。この類表皮癌は早期癌,予後も非常に良好な特徴をもつため,解析からは外した。30歳以下の若年者肺癌群で非喫煙者(p<0.001),未分化癌(p=0.018)が有意に多かった。類表皮癌患者4例を除いた16例の解析では,臨床症状あり,LDH高値,PS不良は有意な予後不良因子となった。生存期間に一般の肺癌との差は認められなかった。LDHと臨床症状の有無で予後を解析するとI群LDH(正常)と臨床症状なし,II群LDH(正常)と臨床症状あり,III群LDH(高値)と臨床症状あり,の生存期間中央値は50.0ヶ月,13.4ヶ月,2.5ヶ月であった。 24歳の肺小細胞癌患者から樹立された細胞株SBC-3,20歳の肺扁平上皮癌患者から樹立された細胞株EBC-2を利用して,細胞株自体の遺伝子異常を検討した.SBC-3のp58 gene statusはexon 4 motility shift by SSCP without mutation(heterozygous),exon 5 motility shift by SSCP with mutation(heterozygous)codon175 CGG to CAC(Arg to His),p16で検討したexon1A,1B,2A,2B,2C,3に異常は認めなかったが,pRBの過剰発現が認められた。Fow Cytometryの検討ではSBC-3,EBC-2ともにCD34を発現していた。また,EBC-2には電子顕微鏡で扁平上皮癌に典型的なdesmosomeとtonofilamentを認め,薬剤耐性遺伝子MRP1,3,4,5,LRPの発現は認められたが,MRP2,P-glycoproteinの発現は認められなかった(Lung Cancer,35(3):305-314,2002).EBC-2のsublineであるEBC-2/Rはcisplatinに対して耐性を示すが,EGFRのtyrosine kinase inhibitorに対して感受性を示し,tyrosine kinaseのリン酸化には変化がなくP13K-Aktと関与を証明した。
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