2000 Fiscal Year Annual Research Report
ベーチェット病における進行性神経病変の発症機序の解析
Project/Area Number |
12670439
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
原岡 ひとみ 帝京大学, 医学部, 助手 (60228632)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 たみ子 帝京大学, 医学部, 助手 (80082204)
広畑 俊成 帝京大学, 医学部, 助教授 (90189895)
|
Keywords | 神経ベーチェット / 髄液 / β_2ミクログロブリン / インターロイキン6 / mRNA / Tリンパ球 / Bリンパ球 / In situ hybridization |
Research Abstract |
ベーチェット病の約10%の患者には、主症状がおさまった後の遅発性病変として、治療抵抗性の神経病変が出現し、痴呆・小脳症状が不可逆的に進行し、患者を廃人同様にしてしまう。これらは、本症発症時に多く見られるself-limitingの髄膜脳炎(急性型)と区別され、慢性進行型と呼ばれるべきものである。本年度の研究においては、慢性進行型NBのより早期の診断・治療を可能にするべく、急性型NBと慢性進行型NBの間で脳内の炎症の質に本質的な差が存在するかについて重点的に検討した。特に慢性進行型NBと急性型NBの血清および髄液中のβ_2ミクログロブリン、インターロイキン6、アルブミン等について比較検討した。髄液β_2ミクログロブリン、インターロイキン6は急性型NB・慢性進行型いずれにおいても著明に上昇しまた、急性型NBと慢性型NBとの間では髄液β_2ミクログロブリン、Qアルブミン、CSFβ_2ミクログロブリンindexはいずれも有意差を認めなかった。従って、この両者においては炎症そのものの質的な差異は存在しないことが明らかになった。一方、NB患者の脳組織について免疫組織染色を行なったところ、中枢神経内に浸潤している細胞の大半はTリンパ球であるが、一部CD20陽性B細胞の浸潤の見られるところが存在した。In situ hybridizationによる検索では、CD20陽性B細胞の浸潤部にインターロイキン6のmRNAが検出された。以上より、NBにおいてはTリンパ球のみならず、Bリンパ球も中枢神経内での病態形成に関与することが示唆された。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Shimamoto Y: "Reiter's syndrome associated with HLA-B51."Intern Med. 39. 182-184 (2000)
-
[Publications] Yamashita S: "Analysis of neutrophil proteins of patients with Behcet's disease by two-dimensionnal gel elecreophoresis."Biol Pharm Bull. 23. 519-522 (2000)
-
[Publications] Kawai M: "Cerebrospinal fluid β2-microglobulin in neuro-Behcet's syndrome."J Neurol Sci. 179. 132-139 (2000)
-
[Publications] 広畑俊成: "質疑応答:内科 ベーチェット病の診断と治療"日本医事新報. 3955. 107-108 (2000)
-
[Publications] 広畑俊成: "今月のテーマ膠原病:セミナー/膠原病の治療ガイドライン「ベーチェット病」"Medical Practice. 17. 1713-1715 (2000)
-
[Publications] 広畑俊成: "ベーチェット病の臓器病変<膠原病の臓器障害 的確な評価に基づく治療選択>"治療学. 34. 1214-1218 (2000)
-
[Publications] 広畑俊成: "膠原病診療 専門医によるベストアドバイス -困ったときにどう考えるか"診断と治療社. 216 (2000)
-
[Publications] 広畑俊成: "知っておきたい膠原病の新たな診療"真興交易(株)出版部. 242 (2000)