2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670441
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
久保 允人 東京理科大学, 生命科学研究所, 助教授 (40277281)
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Keywords | ゲノム / T細胞機能分化 / Th1 / Th2 / IL-4 |
Research Abstract |
ゲノムプロジェクトにより真核細胞のゲノム構造が明らかにされ、ゲノム情報収集の時代から、これらを利用して分化・増殖・機能発現・死などの生命現象を明らかにしていく時代へと移り変わっている。これまで漠然と捕らえてきた免疫系における運命決定と言う現象を解明する1つのアプローチとして、我々は機能発現と分化制御に直接関連している遺伝子に焦点を当て、その発現制御を理解することにより、機能発現をプログラムするメカニズムの解明を目指している。胸腺において成熟細胞へと分化したT細胞は、それぞれ異なるサイトカインを産生することによりTh1・Th2と呼ばれる機能型ヘルパーT細胞へと分化する事により生体防御を担う。この際、特定のサイトカイン遺伝子のスイッチを入れるため、ゲノムはヒストンのアセチル化や脱メチル化、それに伴う染色体改変を起こすことが必要である IL-4を含むIL-5,IL-13などのTh2サイトカイン遺伝子はヒトでは第5染色体に、マウスでは第11染色体に集中し、そのゲノム構造はマウスとヒトの間で非常によく保存され、Th2サイトカイン遺伝子クラスター領域と呼ばれている。ここにはTh2サイトカイン以外に、DNA修復に関与する酵素RAD50や転写因子pZNF43がコードされており、その発現はTh2サイトカインと同調している。これに対して、神経細胞の分子モーターであるキネシンファミリー分子KIF3やVoltage dependent anion chnnel1の遺伝子発現はTh1細胞でも認められた。これらの事からTh2サイトカイン遺伝子クラスター領域のKIF3とVoltage dependent anion channel1の間でTh2サイトカインの発現を共通に制御するスイッチ機構の存在が想定される。そこで、我々は発現パターンが異なる2つの遺伝子IL-4とKIF3を隔てるゲノム領域に着目しスイッチ機構の解明を試みている。これまでの解析から、Th2への機能分化には抗原刺激に加えIL-4刺激が必要であることが知られている。我々はヒトIL-4レセプターを持つトランスジェニックマウスを利用することにより、人為的にTh1・Th2分化を制御しうるシステムを構築し、IL-4とKIF3を隔てるゲノム領域について、この領域のアセチル化、分化過程におけるTh2サイトカインの発現に関わる転写因子の動態、これら転写因子のこの領域へのアクセスを解析することにより、この領域内に分化の方向性を決定するスイッチ機構が存在するか否かを解析している。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 久保允人: "Synergism between the calmodulin-binding domain and the auto-inhibitory domain on calcineurin is essential for the induction of their phosphatase activity."Journal of Biological Chemistry. 275. 11728-11734 (2000)
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[Publications] 久保允人: "Impaired Ca/calcineurin pathway in in vivo anerguzed CD4 T cells."International Immunology. 12. 817-824 (2000)
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[Publications] 久保允人: "Interleukin-15 induces rapid tyrosine-phosphorylation of STAT6 and the expression of Interukin-4 in mouse mast cells."Journal of Biological Chemistry. 275. 29331-29337 (2000)
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[Publications] 久保允人: "CIS3/SOCS3/SSI3 plays a negative regulatory role in STAT3 activation in the colon epithelial cells and intestinal inflammation."Journal of Experimental Medicine. 193. 471-482 (2001)
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[Publications] 久保允人: "T細胞の分化とIL-4、IL-4レセプターの発現と機能-T細胞機能分化へのSOCSファミリー分子の関与"アレルギー科. 10. 56-61 (2000)
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[Publications] 久保允人: "転写因子によるヘルパーT細胞分化のサイトカイン遺伝子制御機構"臨床免疫. 35. 247-255 (2001)
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[Publications] 久保允人: "わかる実験医学シリーズ「免疫が分かる」"小安重夫 編集 羊土社. 123 (2000)
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[Publications] 久保允人: "BioScience免疫学ライブラリー"斉藤隆,竹森利忠 編集 羊土社. 258 (2000)