2000 Fiscal Year Annual Research Report
小腸移植拒絶反応の抑制-遠心分離法を用いた末梢白血球光線療法の免疫抑制機序の解明と臨床応用-
Project/Area Number |
12670479
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河南 智晴 京都大学, 医学研究科, 助手 (30293864)
|
Keywords | 小腸移植 / 拒絶反応 / 末梢白血球光線療法 |
Research Abstract |
我々は、小腸移植手術における新たな免疫抑制療法の開発を目的として、ラット異所性小腸移植モデルを用いた末梢白血球光線療法(photopheresis、以下PP)の研究を行ってきた。ラット異所性小腸移植モデルは、科学研究費奨励研究(A)、平成10〜11年度、「小腸移植拒絶反応の抑制-高分子マイクロカプセルを用いた経口免疫寛容導入法の開発-」において確立したモデルを用いた。このモデルラットに小腸移植後末梢血を採取、比重遠心法により白血球のみを分離した(約3〜5×10^3/ml)。この白血球をPBSにて洗浄希釈後、10mlのPBSにて白血球浮遊液を作成した。この液にメソキサレン(methoxsalen、以下MTX)0.4μg/mlを添加後、UVA透過清潔ガラス板で作成した100μm薄層カセットに注入し、約180分間で2J/cm^2となるようUVAを照射した。その後、カセット内の白血球をPBSにて洗浄回収後、viabilityを確認、再びPBS1mlにて浮遊液を作成し、ラット末梢血中へ返却した。上記操作を移植後1、2日目、5、6日目、10、11日目、15、16日目、20、21日目の計10回施行し、移植後10、20,30日目に各ラットを犠牲死させて移植小腸粘膜の状態を確認した。その結果、現実験システムではPPを繰り返す毎に貧血が進行するため、処置ラットのうち移植後30日目までの平均生存率は約40%と低率であったが、生存ラット中、臨床経過および移植小腸組織の検討から、74%の移植片に拒絶反応が認められた(コントロール群:80%)が、その程度はコントロール群より軽微であり、PPは移植後の拒絶反応を軽減させる効果があると考えられた。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Okazaki-K,Kawanami-C, et al.: "A patient with improvement of ulcerative colitis after appendectomy."Gastroenterology. 119(2). 502-506 (2000)
-
[Publications] Nakase-H,Kawanami-C, et al.: "Development of an oral drug delivery system targeting immune-regulating cells in experimental inflammatory bowel disease : a new therapeutic strategy."J-Pharmacol-Exp-Ther. 292(1). 15-21 (2000)
-
[Publications] 河南智晴 他: "短腸症候群と移植"消化器内視鏡. 13(2). 227-232 (2001)
-
[Publications] 伊藤俊之,河南智晴: "小腸の解剖・病理"消化器内視鏡. 12(8). 1200-1205 (2000)