2000 Fiscal Year Annual Research Report
肝発生・肝再生・肝発癌における肝癌由来増殖因子(HDGF)の役割
Project/Area Number |
12670484
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 秀次 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20237423)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 了文 大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
|
Keywords | HDGF / 肝発生 / 肝再生 / 肝発癌 |
Research Abstract |
1.マウス肝発生、胎生期未熟肝細胞の分化・増殖におけるHDGFの解析:HDGFmRNAの発現は胎生中期(E12.5〜E13.5)の肝にピークを認め、出生が近づくにつれ急速に低下した。胎生期肝には肝細胞と血球系の細胞が存在するが、HDGFは血球系細胞ではなく肝細胞に発現していた。HDGF蛋白は抗HDGF(C末)抗体による免疫組織化学法にて胎生中期の肝細胞に強く発現し、核に存在した。E14.5の未熟肝細胞はデキサメサゾン存在下でオンコスタチンM添加にて分化誘導される。HDGFの発現はオンコスタチンMによる分化誘導後TATの発現と反比例して著しく低下した。初代培養胎生期肝細胞はリコンビナントHDCGF(150ng/ml)添加にて有意に細胞数が増加した(約15%)。内因性に多量に存在するHDGFによる自律増殖活性が高いために、添加されるHDGFの増殖促進効果が低くなったと思われる。アデノウイルスを用いたアンチセンスHDGFcDNA導入による内因性HDGF産生抑制により、濃度依存性に未熟肝細胞の増殖抑制(30MOIにて細胞数で約80%)が認められた。以上より、HDGFは肝臓の発生、特に胎生期の未熟肝細胞の自律増殖に深く関与する因子の一つであると思われる。 2.マウス肝再生におけるHDGFの解析:2種の肝再生モデルで検討した。70%肝切除モデルではHDGFの発現は肝切後約3時間より誘導され12時間でピークを認めた。四塩化炭素肝障害モデルではHDGFの発現は投与後約12時間より誘導され24時間にピークを認め、肝切除モデルより強く誘導された。いずれもHDGFの発現はDNA合成より早期に誘導された。HDGFは肝実質細胞に発現していた。以上より、HDGFは肝再生においても肝細胞の増殖に関与していることが示唆された。 3.肝発癌動物モデルおよびヒト肝癌におけるHDGFの解析は現在進行中である。
|
Research Products
(1 results)