2000 Fiscal Year Annual Research Report
in vivoにおける腸管出血性大腸菌の消化管病変形成機序の解明
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12670502
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
末吉 益雄 宮崎大学, 農学部, 助教授 (10305063)
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Keywords | 腸管 / 大腸菌 / eaeA遺伝子 |
Research Abstract |
〔試験研究方法〕 本年度は、腸管出血性大腸菌の特徴の一つであるeaeA遺伝子を保有している大腸菌(AEEC)による粘膜病変の検索として,雛感染モデルを用いて以下の実験を実施した。AEEC(O103:H-)を10^8個/ml経口投与し,投与後3時間から3ヶ月間,経時的に投与菌の分離,腸管への付着状態,発現したattaching-effacing(AE)病変及び組織内のIgA,IgG及びIgMの動態を観察した。 〔試験研究成績の概要〕 (1)AEEC(O103:H-)を雛に投与し,経時的に観察したところ菌は投与後3時間目から2日目までの全例の盲腸内容物から平均8.67±0.41(log_<10>CFU/g±SD)の菌数値で分離され,また,投与後6日目にも1例から分離された。AEECの腸管粘膜への付着は,菌投与後3時間目から3週間目まで認められ,AE病変は菌投与後9時間目から3週間目まで認められた。感染初期,AEECは孤立して細胞の微絨毛表面に付着し,その後,細胞表面の微絨毛及び微絨毛基部のフィラメントが異常伸長し,表面に付着した菌は微絨毛に取り囲まれた。菌周囲の微絨毛は,その後,萎縮及び消失し,細胞膜はCup様の陥凹形成あるいは台座様突起物の形成が認められた。AE病変は陰窩の開口部を取り囲むように網目状に拡大し,粘膜組織には偽好酸球及びリンパ球の浸潤が著明となり,AE病変の拡大とともにリンパ瀘胞の形成が確認された。感染後期にはAEECは粘膜から離脱し,粘膜は修復された。菌の付着及びAE病変に伴って,腸上皮細胞の核上部,上皮細胞直下固有層及び粘膜固有層に侵潤した形質細胞にIgAの分布が観察された。また,本菌体と腸上皮細胞間に線毛様構造物が観察され,bfp以外の新しい接着因子が示唆された。
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