2000 Fiscal Year Annual Research Report
ラット自然発症慢性膵炎およびヒト慢性膵炎における細胞性免疫に関する研究
Project/Area Number |
12670507
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山田 珠樹 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (20295588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中沢 貴宏 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (70305522)
大原 弘隆 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (80285212)
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Keywords | 自然発症 / 慢性膵炎 / 膵腺房細胞 / アポトーシス / T cell / FK506 |
Research Abstract |
雄性WBN/Kobラットにおいて膵臓組織のHE染色,TUNEL染色,および抗F4/80(macrophage/monocyte),および抗CD4・抗CD8抗体を用いての免疫染色を行った。その結果,我々が以前に報告したごとく,10週齢では膵にほとんど炎症を認めなかったが,膵腺房細胞のapoptosisを少数認めた.15,20週齢では小葉間・小葉内に著明な炎症を認め,腺房細胞apoptosis数は著明に増加しており,小葉間・小葉内には,macrophage/monocyte,CD4陽性T cell,CD8陽性T cellがほぼ同様に分布している像が確認された.その中でも,特に,CD8陽性T cellがapoptosisを起こした腺房細胞の近傍に取り巻くように浸潤している像が認められた.さらに,T cellの機能を抑制するFK506を10週間皮下投与することで用量依存性に20週齢での膵腺房細胞のapoptosis,慢性膵炎は抑制された.ここまでの結果から,本モデルにおける慢性膵炎の発症に膵腺房細胞のapoptosisが密接に関連し,T cell特にCD8陽性T cellがapoptosisの誘導に重要な役割を果たしていることが示唆され,現在,American Journal of Physiology(GI & Liver)へ投稿中し,reviseの準備中である.次に,WBN/Kobラットの脾細胞によるWistarラットへの慢性膵炎移入およびWBN/Kobラットの慢性膵炎発症の早期化に関する実験を行った.現在のところ,明確な結果は得られておらず,これについては今後のさらなる検討が必要であろうと考えている.特に,Wistarラット(recipient)のT cellをcyclophosphamideを用いて抑制する必要があるのではないかと考えている. さらに,ヒト慢性膵炎患者における血中リンパ球の解析,超音波内視鏡下Fine Needle Aspirationによる膵組織の免疫染色,RT-PCRによる各種サイトカインの検討は,サンプル収集の困難さから,残念ながらまだ十分に施行できていない.
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