2001 Fiscal Year Annual Research Report
ラット新規セリンプロテアーゼの分子生物学的検討および膵疾患マーカーとしての意義
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12670508
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
片岡 慶正 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (70185792)
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Keywords | chymoapsin / serine protease / 膵消化酵素 / リコンビナント蛋白 / 基質特異性 / ELISA |
Research Abstract |
我々はラット膵におけるセリンプロテアーゼをクローニングし、これをChymopasinと命名した。リコンビナント蛋白はp TrcHisベクターを用いて、大腸菌の系でFusion蛋白として作成した。Fusion蛋白はChymopasin活性化体にHistidine Tag及びEnterokinase認識部位を付加している。Histidine Tagによりリコンビナント蛋白の精製は容易となり、またEnterokinaseを作用させることによりリコンビナント蛋白を活性化させることができる。リコンビナント蛋白はlnclusion bodyとして不溶化した状態で産生されたが、Ureaを用いて可溶化し、Affnity Chromatographyにて精製した。Enterokinase処理をしたこのリコンビナント蛋白は酵素活性を有していた。検索した範囲ではセリンプロテアーゼの各種基質のうち、キモトリプシンの基質であるSuc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCA、Glt-Ala-Ala-Phe-MCA、Benzoyl-Tyrosil-pNAに対してのみ活性を持っていた。したがって合成基質に対する活性の有無のみではキモトリプシンと区別することは困難である。ペプチド抗体を2種類作成し、これを用いてELISAの系の作成を試みた。抗体1を96穴プレートに吸着させ、リコンビナント蛋白を添加、さらにビオチン化した抗体2、続いてストレプトアビジンHRPを結合させ、ABTSを発色基質とし、405nmでO.D.を測定した。同方法では、現在約10g/mlが測定の限界である。現在、一般に測定されている膵蛋白分解酵素Trypsn、Elastase1は、いずれも正常値がng/mlオーダーであり、またChymotrypsinも同様である。すなわちtrypsinはRIA法にて101-408ng/ml、elastase1はRIA法にて100-410ng/dl、EIA法にて2.9-19.2ng/ml、chymotrypsnはRIA法にて37.5±19.6ng/mlである。またキモトリプシンの急性膵炎時の値は449±19.6ng/mlと報告されている。chymopasinの血清レベルは不明であるが、ng/mlレベルの測定を行うため、さらに感度を上げる必要があると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 片岡 慶正, 阪上 順一, 十亀 義生, 臼井 憲子, 金光 大石: "「重症急性膵炎-救命率の向上を目指した最新の知見-」重症急性膵炎の予後因子と予後"肝胆膵. 42・6. 763-769 (2001)
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[Publications] 阪上 順一, 片岡 慶正: "ERCP後膵炎における肝動脈血流の検討"超音波医学. 28・3. 567-567 (2001)
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[Publications] 阪上 順一, 片岡 慶正: "ラット急性壊死性膵炎モデルを用いた肝血流上昇反応の検証レーザードプラ法を用いた検討"超音波医学. 28・3. 568-568 (2001)
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[Publications] Osawa S, Kataoka K, Sakagami J, Sogame Y, Kawasaki C, Takaoka K, Yasuda H, Takatera A: "Relationship between morphological changes in the main pancreatic duct and exocrine pancreatic function after a secretin test"Pancreas. (in press).