2001 Fiscal Year Annual Research Report
抗消化管ムチン単クローン抗体の系統的開発とその病態生理学的研究への応用
Project/Area Number |
12670514
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
石原 和彦 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (10104530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 尊文 北里大学, 医学部, 講師 (30245378)
五艘 行信 北里大学, 医学部, 講師 (20112659)
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Keywords | mucin / monoclonal antibody / mucosal regeneration / eperimental ulcer / stomach / immunohistochemistry |
Research Abstract |
申請段階で掲げた4項目の目標ごとに研究の進展の結果を報告する。 1)糖鎖構造情報解析の手段としての単クローン抗体の確立と供給:本研究の進展に必要となる、エピトープ糖鎖を含むムチンの分離精製を精力的に実施した。ヒト胃ムチンの材料としては、以前から冷凍保存されていた、胃液採集試料を出発とした。ここからゲル濾過法でムチンを部分精製し、抗ヒト胃ムチン抗体であるHGM75との反応性を調べたところ、抗原の存在が明らかになった。エピトープの性状をさらに検討したところ、ムチン由来の比較的短い糖鎖画分に阻止試験で陽性となることがわかった。今後はこの画分を精製してエピトープ糖鎖の構造を明らかにしていく予定である。ラット胃ムチンを材料とするRGM21のエピトープ解析の試みは、対象となる糖鎖が大量に得られる可能性が低いので、分析の感度を上げるためネオ糖脂質を合成し、TLCで分離後ブロッティングして抗体との反応性を検討する方法を開発したのち、比較的長い糖鎖エピトープの構造を明らかにしていく予定である。また、ラット胃体部の増殖細胞帯付近に活性の存在するPGM34(ブタ胃ムチンを抗原として確立した抗体の1つ)のエピトープが酸性糖鎖であることがわかってきたので、現在ブダ胃ムチンの精製し、エピトープ糖鎖を切り出す試みを行っている。 2)Helicobacter pylori(Hp)感染に対するムチンの関与の検討:共同研究を進めている信州大学(勝山教授)においてHIK1083が認識する抗原糖鎖がHpの感染制御に関与していることが明らかになりつつある。この研究成果が得られたあと、ヒト表層粘液細胞由来粘液とHpとの関連を追及することにし、今年はこの方面の研究を見合わせた。 3)実験潰瘍の治癒期における胃粘膜の免疫組織化学的検討:ラットの急注期潰瘍モデル(エタノール潰瘍、アスピリン潰瘍等)においても、その早期治癒段階に酢酸潰瘍と同様に本来胃体部には発現しないRGM26およびHCM31と反応するムチン抗原がそれぞれ異なった位置で産生分泌されることが明らかになった。現在これらの抗原性の発現とシクロオキシゲナーゼ(COX)-1,-2の発現との関連性を免疫組織化学的手法によって検討している。 4)病理組織標本を用いた免疫組織化学染色による各単クローン抗体の有用性の検討:ヒトを対象とした研究については、現在ERCPによって採取した純粋胆汁を用いてその中に含まれるムチン抗原と病態との関連性について,ELISAの手法を用いて検討している。病理学的検討はこの結果をまって行う予定である。(本学消化器内科との共同研究)
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hayashida H, Ishihara K, Ichikawa T, Okayasu I, Kurihara M, Saigenji K, et al.: "Expression of a specific mucin type recognized by monoclonal antibodies in the rat gastric mucosa regenerating from acetic acid-induced ulcer"Scandinavian Journal of Gastroenterology. 36. 467-473 (2001)
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[Publications] Goso Y, Ishihara K, Sugawara S, Hotta K.: "Purification and characterization of α-L-fucosidase from Streptomyces sp. OH 11242"Comparative Biochemistry and Physiology Part B. 130. 375-383 (2001)
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[Publications] Obata F, Ichikawa T, Imai H, Nakagawa Y, Nakamura T, Ishihara K, et al.: "Selenium-Dependent Glutathione Peroxidase-GI Is Localized in Basal Granulated Cells of Rat Stomach"Biomedical Research. 22. 7-14 (2001)
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[Publications] Sawaguchi A, Ishihara K, kawano J, Oinuma T, Hotta K, Suganuma T.: "Fluid dynamics of the excretory flow of zymogenic and mucin contents in rat gastric gland processed by high-pressure freezing/freeze substitution"The Journal of Histochemistry and Cytochemistry. 50. 223-234 (2001)