2000 Fiscal Year Annual Research Report
慢性脱髄性多発神経炎・傍腫瘍症候群で出現する自己抗体の認識する未知抗原分子の同定
Project/Area Number |
12670594
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
千葉 厚郎 杏林大学, 医学部, 講師 (30313133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠 進 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (90195438)
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Keywords | 慢性脱髄性多発神経炎 / 傍腫瘍症候群 / 自己抗体 / CIDP / 抗核抗体 / 抗ミエリン蛋白抗体 |
Research Abstract |
蛋白抗原に関しては各種神経組織のホモジェネートを用いてWestern blot法により、糖脂質抗原については神経組織より抽出したガングリオシド分画を用い薄層クロマトグラム-免疫染色法により検討した。 慢性脱髄性多発神経炎(CIDP)患者11例中6例においてウェスタンブロット上で約20kDaの抗原と反応するIgMクラスの抗体を見いだした。健常対照においても20例中7例で反応がみられたがその反応の強さは明らかにCIDP群よりも弱かった。認識される抗原は末梢神経組織のみではなく中枢神経組織にも認められ、subcellular fractionでの検討では核を含む分画に最も強い反応を認めた。強陽性患者血清を用いた免疫組織化学的検討ではIgMクラスで細胞核が非選択的に染色された。この患者では通常の臨床検査で検出される抗核抗体は認められておらず、このIgM抗体は新たな抗核抗体である可能性があると考えた。疾患対照での検討では同様の反応がGuillain-Barre症候群(GBS)患者、SLE患者の一部においても認められた。抗原の組織内分布からは本抗体が直接組織障害性にCIDPの神経障害に関与している可能性は考えづらいが、何らかの免疫異常に関与している可能性があるものと考えている。 上記のIgM抗体を認めなかったCIDP患者一名において約29kDaの蛋白を認識するIgGクラスの抗体を認めた。同様の反応は他のCIDP患者2名、GBS患者2名でも検出されたが、健常者では18例の検討で1名も検出されなかった。坐骨神経のsubcellular fractionでの検討ではミエリン分画に最も強い反応を認め、抗原蛋白はミエリンの構成成分であると考えた。30kDa付近の移動度を示すミエリン蛋白としてはP0がしられているが、このバンドはP0に対する抗体では認識されなかった。 今後更に患者血清のスクリーニングを続けると共に上記の抗原蛋白の解析を進める。
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