2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670609
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菊池 仁志 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (60322765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 弘之 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (80325464)
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Keywords | タイラーウイルス / 多発性硬化症 / L^* / 脱髄 / 持続感染 |
Research Abstract |
タイラーウイルス感染マウスは、実験的アレルギー性脳脊髄炎とともに多発性硬化症の動物モデルとして広く使われている。タイラーウイルスはその生物学的活性により弱毒性と強毒性の2つの亜群に分けられる。弱毒性のものはDAをはじめとするTO亜群で、脳内接種後に持続感染し、脊髄に炎症性の脱髄病変を生じる。強毒性のものはGDVII亜群で脳内接種後一週間以内にマウスは死に至る。タイラーウイルスによる持続感染と脱髄の機序は不明だが、最近L^*仮説が注目されている。L^*はDAのnt1079位のAUGを用いて合成される18kDaの蛋白だが、GDVIIはこの部位がACGのためにL^*を合成しない。L^*についての研究報告は多いが、その機能は不明である。我々はnt1079位よりも下流でL^*と同じ読み枠で全長のL^*合成を阻害するような終止コドンをもつように変異を導入したところ、このウイルスは持続感染と脱髄を生じなかった。このことはL^*開始のAUGよりL^*そのものが重要であることを示唆した(投稿中)。一方、我々は、GDVIIにL^*を合成するようにnt1079位のACGをAUGに変えた変異ウイルスが持続感染はするが脱髄は生じないことを明らかにした。その理由として、GDVIIのL^*とDAのL^*が同一でないことが考えられた。そこでDAのL^*をコードする遺伝子領域をGDVIIの相当する遺伝子領域に置き換えたキメラウイルスを作成した。このウイルスは持続感染したが、脱髄は生じなかった。この結果、L^*は脱髄と持続感染には重要であるが、L^*のみでは脱髄は生じ得ないことがわかった。現在我々はウイルスのカプシド蛋白に注目して、検討中である。
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[Publications] Kikuchi H, et al: "Spinal cord lesions of myelitis with hyperIgEemia and mite antigen specific IgE (atopic myelitis) manifest eosinophilic inflammation"J Neurol Sci. 183. 73-78 (2001)
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[Publications] Kikuchi, et al.: "Expression of cathepsins in the motor neurons of amyotrophic lateral sclerosis"International Symposium on molecular mechanism and therapeutics of amyotrophic lateral sclerosis, 2000. (Proceeding,in press).
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[Publications] Kikuchi H, et al: "Anti-Ri-associated paraneoplastic cerebellar degeneration without opsoclonus in a patient with a neuroendocrine carcinoma of the stomach"Fukuoka Acta Medica. 91. 104-109 (2000)
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[Publications] 山崎賢智 他: "L^*を導入した変異GDViiウイルスの検討"神経免疫学. 8. 58-59 (2000)
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[Publications] 越智博文 他: "アトピー性脊髄炎と多発性硬化症における黄色ブドウ球菌エンテロトキシン特異的IgE抗体の検討"神経免疫学. 9. 152-153 (2001)
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[Publications] 小副川学 他: "ブタ回虫性脊髄炎症例とアトピー性脊髄炎におけるブタ回虫特異的IgG及びIgE抗体の検討"神経免疫学. 9. 154-155 (2001)
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[Publications] 小副川学 他: "好酸球性脊髄炎の免疫学的・病理学的検討"神経免疫学. 9. 156-157 (2001)