2000 Fiscal Year Annual Research Report
SLC欠損マウスにおける実験的アレルギー性脳炎の発症抑制機構
Project/Area Number |
12670621
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
垣内 史堂 東邦大学, 医学部, 教授 (40126024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 英樹 東邦大学, 医学部, 助手 (30266928)
岩崎 泰雄 東邦大学, 医学部, 助教授 (30130347)
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Keywords | pltマウス / SLCケモカイン / ELCケモカイン / 実験的アレルギー性脳脊髄炎 / T細胞 / T細胞免疫反応調節 / 多発性硬化症 |
Research Abstract |
実験的アレルギー性脳炎(Experimental Allergic Encephalomyelitis:EAE)は,多発性硬化症のモデルと考えられている。我々の見出したplt(paucity of lymph node T cells)マウスでは、リンパ系に発現するSLCと樹状細胞に由来するELCの両方のケモカイン発現に欠損がある。このマウスではT細胞と樹状細胞のホーミングに異常があり、マウス肝炎ウィルスに対する感受性が著しく高いことをすでに報告している。また、予備的検討でpltマウスではEAEの発症が抑制されていることが示唆されている。pltマウスを蛋白質抗原をアジュバントともに免疫し、in vitroで抗原刺激した場合のT細胞増殖反応を見ると、正常マウスよりやや遅れるものの強い反応がみられ、しかも正常マウスでは免疫後20日で反応性が低くなるのに対してpltマウスでは免疫後極めて長期間持続することが判明した。すなわちpltマウスでは免疫後のT細胞抗原反応性の調節に大きな欠陥があるものと考えられる。正常マウスでは、T細胞は所属リンパ節のいわゆるT細胞領域で末梢から流入した樹状細胞による抗原提示を受けるが、両細胞のホーミングに異常があるpltマウスではリンパ節被膜下でそのような抗原提示が行われていることを示唆する組織像も得られた。これまでの検討では増殖とIL-2産生でT細胞の反応をみてきたが、このような調節の異常があるとすれば、ヘルパーT細胞の分化にも影響があるのではないかと考えられる。pltマウスではEAEの発症が遅れ、しかも軽症であることが示唆されているが、EAEはTh1細胞によって発症することが知られており、pltマウスでは前記のような調節異常によりT細胞分化に正常マウスと異なるパターンが見られるのかもしれない。この点を明らかにすることが、EAE発症抑制に関わるメカニズムを考えるうえで重要な課題であろう。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] S.Mori,H.Nakano,K.Aritomi,C.-R.Wang,M.D.Gunn,T.Kakiuchi: "Mice lacking expression of the chemokines CCL21-Ser and CCL19 (plt mice) demonstrate delayed but enhanced T cell immune responses"J.Exp.Med.. 193・1. 207-217 (2001)
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[Publications] H.Nakano,M.D.Gunn: "Gene duplications at the chemokine locus on mouse chromosome 4 : multiple strain-specific naplotypes and the deletion of secondary lymphoid-organ chemokine and EBI-1 ligand chemokine genes in the plt mutation"J.Immunol.. 166・1. 361-369 (2001)
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[Publications] M.Terabe,M.Shimizu,A.Mabuchi,S.Matui,H.Morikawa,K.Kaneda,T.Kakiuchi,K.Yokomuro: "Unresponsiveness of intrahepatic lymphocytes to bacterial superantigen : rapid development of suppressive Mac-1 high cells in the mouse liver"Hepatology. 32・3. 507-513 (2001)
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[Publications] Y.Nakamura,Y.Aramaki,T.Kakiuchi: "A mouse model for postoperative fatal enteritis due to Staphylococcus infection"J.Surg.Res.. 96・1. 35-43 (2001)
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[Publications] Y.Kanai,T.Kakiuchi: "Response of peripheral lymphocytes from patients with ossification of posterior longitudinal ligamen"Clin.Orthop.. (in press).
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[Publications] 垣内史堂,中野英樹: "リンパ組織形成とケモカイン"臨床免疫. 34・5. 648-655 (2000)
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[Publications] 垣内史堂,中野英樹: "樹状細胞の遊走におけるSLCケモカインの役割"免疫2000-01. 10-19 (2000)
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[Publications] 垣内史堂,中野英樹: "末梢リンパ組織形成におけるリンフォトキシン(LT)、BLCケモカイン、SLCケモカイン"Annual Review免疫2001. 229-236 (2000)